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マンション管理士受験体験記


宅地建物取引主任者 遠藤

「マンション管理士は名称独占資格ゆえ、食えない資格である」と一部の資格ゲッターからは言われています。「士」という語がついていますが、誇り高き独立開業「士族」たちは、他の国家資格との併用でなら専門性を展開する手段として、利用価値が大かもしれない。しかし、単独資格としての業務確立は難しいと言われる方が多いようです。


とはいえ、新設国家資格試験としては異例の第1回7.4%、第2回7.0%の低合格率。実際に受験した立場で言わせてもらえば、とてつもなく広い範囲で深い知識を求められているかがわかります。

私は資格ゲッターでも士族でもなく、毎日マンションに関わる仕事をしており、この世にマンションがある限りトラブルはなくならないと考えさせられる日々ですので、知識を深め、仕事の幅を広げるために必要と思い受験し、なんとか2回目で合格することができました。


当社には先輩管理士がおりますので、早朝の勉強会や模擬試験実施などのご指導を頂き、また実際に管理士としての立場で管理組合問題に取組んでいる様子を目の当たりにしてきました。第1回目の試験に判例に基づく出題があり、「判例集」を読むように勧められましたので一通り目を通し、ベースとなる区分所有法はかなり深くチェックしたつもりでした。


ところが、今回の試験はただ単に知識を問う問題よりも、法令の複合問題や考え方を問う問題が多く大変苦労しました。

例えば管理組合の管理者が修繕積立金の使い込みをした場合、債務不履行なのか、不法行為に問われるのか、またそれは誰に対しての責任なのかといった問題で、設問と各々の肢をよく読んでも解答を導き出せないような難問だらけでした。管理士試験問題が、日々業務で直面するマンションの問題とは言い難いかも知れませんが、常に知識は追いついていなくてはなりません。


たとえ100%の知識があっても、マンション管理士試験では80%の結果しか出せないような気がします。それが試験の怖さだと痛感しています。模擬試験で80%以上の点数を取っていても、本試験ではそれを下回る結果で終わっている人がほとんどです。私は2年連続の受験で試験に運・不運は関係なく、勉強した分しか点数がとれないし、プロとして最低の知識を問う国家資格である限り甘くない、ということを思い知らされました。


合格、登録完了してもプロとしてはまだ最低のレベルであり、やっとスタートラインに立っただけです。

管理組合が抱える様々な問題は, 法律や規約や知識だけでは解決に至りません。複雑な人間関係や慣習で維持されている場合が多いのが現状です。

まずは「人の話をよく聞く」ということから始めていくしかないと思っています。

人の話をよく聞くことができて、その中から合理性を求めることができるマンション管理士が私の理想像です。

そして、これからまだまだ勉強です。


合格の報をきいてメールやお電話で激励して下さった、オーナー様に心よりお礼申し上げます。