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不動産業界の広告


草野 裕樹

 「不動産」というものは需要と供給のバランスによって価値が決定し、その価値を基に賃料や税金などが算出されていく。ある意味、不動産の価値は必ず賃料や税金などに特段の事由がない限り必然的に比例していくものといえる。不動産は権利関係があり、所有権等の物権、賃借権などの債権に別れ、この中のどの権利を有するかでも大きくその価値と効果が変わってくるといえる。複雑怪奇な不動産の世界は一つ解釈を間違ったり、広告手段を誤ったりするだけで大きな影響を受けることもある。この広告媒体について考えてみたいと思う。


 不動産を売却したり貸したりする場合、何もしなければもちろん結果はついて来ない。よって、迅速に結果を出すためには広告を行い、多くの人に知ってもらう必要がある。そのための広告媒体が何かという選択肢によって結果は大きく変わってくる。以前は「紙」による媒体が主なものであり、雑誌や新聞、チラシ、電車の中刷り広告など、人の集まりそうな場所に設置しそれを見た人が興味を持てば問い合わせを行なうというシステムである。実際興味のある人だけが問い合わせを行なうのでそれ相応の効果が期待される。しかし、欠点としては場所の選定を誤ったり、需要のリサーチを行なわないで広告を使った場合は思うような効果を挙げることは出来ないどころか大量に広告を投下するため大きな費用を費やしてしまうというリスクも生じる。そのため、広告を打つまでは徹底的なリサーチと需要がどの方向を向いているかを見極めながら進める必要がある。


 現在における広告の媒体については大きく様変わりをしようとしている。もちろん紙による広告も盛んに行なわれているがそれ以外の媒体が急成長を遂げている。それがネット広告である。この広告はパソコンの画面を通じてホームページなどに商品の広告を打ち、興味を持った者が問い合わせをしてくるというものである。この媒体を利用した場合、必要な情報のキーワードを検索してヒットしたホームページを開き、好きなものを見て回るという内容になるので不要なものまで見なくて済むという手軽感がある。また、いまや多くの家庭にパソコンが普及し、新聞を取っていなくてもパソコンがその役目を果たすまでになっており、非常に多くの人の目に触れることから、巨大な広告媒体となっている事実がある。また、ネット広告にはパソコンだけではなく携帯電話などを利用したウェブ広告もありこちらも併せて非常に大きな広告媒体となっている。新聞広告では限られた紙面(サイズ)に、限られた情報を載せることしか出来ないがHPやウェブサイトなら公共の利益を犯さない限りその範囲を制限はされない。つまり、専用情報を必要としている客に対して充分提供できるという大きなメリットがある。


 しかし、これも万能ではなくパソコン操作を間違えて入力した場合画面が見れなくなったりして一つの間違いが原因で全てがフリーズすることも珍しくはない。それに加え、基本的には誰でも閲覧可能なので、ネット攻撃を受けたり誹謗中傷を書き込まれたりすることもある。つまり全知全能な広告には至っていないという結論が導き出されてくる。


 広告は自分の持っているものを人に売ったり、サービスを提供するために必要不可欠なのであるが完全な宣伝効果を生むものは無く、何らかの制限・リスクが生じると考えられる。そうした場合、各広告媒体の優位点などを組み合わせた方法を採用していかなければ、何かが失敗したときに対応できなくなってしまう可能性がある。よって複合的なプランを持って広告していかなければ万が一の際に対応できず一番よい機会を失いかねない。広告を見る人の層や、場所、どのような目的があるかを判断して一番目に触れて反響を得易いように工夫していく必要があると思う。