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10月レポート(2012/10)


草野 裕樹

 札幌の夏は通常であれば8月末には終わりを告げ9月からは少し肌寒い日なども見受けられるのだが、今年の札幌は例年になく暑い日が続き、それに伴う「いつも」とは異なる不動産の動きがあったのではないだろうか?

 今年は9月の半ばになっても30℃近い気温になったり、湿度の高い日が続いたりした。避暑目的で札幌に部屋を借りたケースも多く見受けられたが、その選び方にも変化が見受けられる。まず、エアコンなどの有無。近年札幌の夏も結構気温が上昇することが知られており、日中家にいることが多い人であればそういった需要も伸びてきているのと共に、標準的な装備として設置しているマンションも徐々に多くなってきている。ただし、入居率だけをとって見てみると、需要と実際の入居率は比例はせず何も無いよりは入居率はやや高めであるが大幅な伸び率を示すものではなく、入居希望者が申込か否かを判断する際の決め手の一つといった具合の位置付けといったところであると思われる。

 また、以前の需要として浴トイレ別は前提というような流れもあったが、最近ではそこまで強い要望としては見受けられない。浴トイレが一緒の物件であっても、ユニットバス内がやや広めで、充分なスペースが取れるものも出始めているからである。以前はそういったものも面積が広い分家賃は高めで推移していたが、物件が供給されていく過程で選択肢が広まり、相対して全体の家賃が下落傾向になったため、以前よりも廉価でそういった物件が契約できるようになった背景が影響を与えているものと思われる。

 そして今年多くみられた動きの特徴は都心回帰であろう。9月は例年になく賃貸契約を多く扱った月だったが、そのほとんどが都心部であり外縁部に関しては一部を除き成約に至っていない。札幌の中心部は物件が少ないためどうしても家賃が少々割高に設定される。企業活動が停滞する中、法人契約における賃料上限は例年現状維持か若干の低下になっているが、それでも中心部における需要が高かった。特に中心部の家具付きは割高であっても、充分な集客能力があり退去予定であっても申し込みが入ってくるような具合だった。その背景にあったものは、企業活動が停滞する中で行われる人事異動が例年よりも多く動いていたという事ではないだろうか?個人の申し込みも少なくは無いが、法人契約の目立つ月であったと振り返ることが出来る。近年は4月はともかくとして、10月という人の動きは最小限に抑えられてきたようなイメージがあったが、ここにきて再び動きが出てきたような感じがする。様々な需要が発生する中で、どの程度需要にあった、もしくは需要を誘引することが出来る提案が出来得るかというところで成約数は大きく変動するのではないだろうか?