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5月レポート(5/9)


営業部 草野 裕樹

 今年は例年になく寒い春を迎えている。ゴールデンウィークも、それを過ぎても気温は上がらず、場所によっては未だ降雪がみられる。今年の冬は気温が低く、雪の量も例年より非常に多かった。今でこそ雪が街頭から消えはしたが中心部を離れると結構な頻度で雪が残っている事が見受けられる。そうした状況はこれからの不動産動向にどのような影響を与えるのだろうか。

 繁忙期を過ぎた今でも来店があるわけだが、部屋探しなどの要望には今年の冬の影響が鮮明に出ている。雪の多さや凍結の恐れ、転倒などをなるべく避けるために交通機関や地下道への距離などを非常に気にする人が多い。特に女性にその傾向は見受けられ、賃料が多少高くても冬季間の暖房費や不意な交通費などにあまり費用をかけなくて済むような物件に人気が出てきている。もちろん基本的な設備に対する要望も高い。トイレなどは温水洗浄便座などは基本的な要望の中に入ってきているし、窓の素材も単板ガラスよりは複層ガラスという風に、素人の方でもある程度の持っている情報の中でどこを重視すべきか、どの点に留意すべきなのかをチェックした上で部屋探しなどに来ているケースがよく見受けられる。不動産は必ず価格とグレード・立地は比例するため良いものは必ず良い値段が付く。先述した希望を全て満たそうとすれば、それはやはり高額な価格にて賃貸・売買しなければならないわけだが、自ら工夫してそれらを多少なりとも軽減しようという人たちが増えてきているのも事実である。床にラグマットを敷いて下からの寒気を軽減したり、窓に結露が出ないような工夫をしたり、比較的除排雪の入りやすい場所にて部屋探しをしたりと工夫の仕方はいろいろある。そういった事が楽しみの一つだといって部屋探しする人もいた。

 では外縁部の物件などはどうなのであろうか?市内中心部から離れれば離れるほど価格は安くなる。それと比例するような具合に冬季間は除排雪の数も少なく、車で行くのをためらうような時もある場所さえある。そういった物件は比較的賃料も安く、経済的な余裕が無い場合・もしくはその場所に何らかの要因があって住むことになった場合を除いてはなかなか決まりづらいというのが例年であったが、今年はそういったものも結構決まっていったような気がする。工夫をするのは入居する人ではなく、「提供する側」というケースが増えたためだ。つまり部屋を貸すほうが、借りる人に対して施してあげるスタイルが今年は多く見受けられたのだ。空室になっている状態よりは初期投資に少しのお金をかけて回収を図ったほうがいくらも得ということなのである。工夫のやり方は様々だが、賃料を下げる事だけが入居をしやすくする唯一の方法ではないのである。

 現在当社で募集している空室は、例年から比べると半数程度でしかない。どのように工夫するかはどの担当が付くかで大きく変わるのかもしれないが、少なくとも賃料を下げるよりは効果のある「工夫」が今年は功を奏したと言えるのではないだろうか?