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6月レポート(6/11)


営業部 草野 裕樹

 札幌はこの時期になると各種祭りやイベントなどが多くなり、道外からの人の流入が多くなり始める。そして雪解けが終わり夏を迎える前に、本州にある企業から札幌への人材の移動なども行われ始めている。従来であれば4月か10月に多かった人事異動も今は必要な時期に必要な人材を必要なだけ送るというやり方に変わりつつあり、今までの繁忙期をわざと外すことで物件の数も種類も豊富な時期により良い条件にて借りれるこれからの時期にずらす企業も現れてきている。また、特殊なスキルを持った人材派遣などは時期的なものは一切関係せず必要に応じた依頼に応えるために一定期間しか居住しないため通常の賃貸借契約だと型にはまらず定期借家契約などの特殊な契約体系を主とする要望が高まってきている。

 ではその受け入れ態勢はどうなのか?札幌におけるマンスリーやウィークリーといった業態が可能な物件はあるにはあるが数が充分ではなく、また数が圧倒的に足らず需要と供給のバランスが崩れていることから賃料等も高くなかなか扱いづらいという特色がある。マンスリーやウィークリーの良い点は「気軽さ」「便利さ」である。この点が前面に出るため費用的にも通常のものとは異なる賃料帯になり契約の内容や退去立会する際のチェック内容、その後の募集に至るまでも通常の契約とは異なる内容のものが多い。それゆえに通常の不動産会社では扱い切れずそれに特化するか相応に物件を抱えている業者で豊富な経験を基に業務を細分化しつつ多方面に対応出来るようにするしか取り扱うすべは無い。

 ただ先程の記載したように通常の不動産業者では扱う事柄が煩雑すぎて割に合わずコスト高のためになかなか参入できないという側面もあると思う。それに加えて現代のネット社会においては如何に需要を取り込むかがカギとなるため、自社HPやその他の募集サイトにてどのような特色と利便性がアピールできるかが重要になってくる。大手の不動産業者であればネット環境開発に大きな資金をつぎ込むことも出来るが、中小や零細の不動産業者ではその資金を投入しても回収することが出来るかわからないことから最初から手を出せないでいる事も少なくない。実際多くの業者がチャレンジして、コスト高を理由に撤退している。また物件の場所なども重要であり、中心部であれば利便性と相乗効果を示し強い需要を生むが、利便性だけを提供し中心部から離れた場所や外縁部、通常では賃貸が付かないような場所にそのような業態を展開しても需要は生まれない。それに加えその人目に付かないことを利用しおかしなことの温床にもなりかねない。そういったリスクもあるため容易には新規参入といったことが出来ないでいるのかもしれない。そのために物件数が増加せず需要と供給のバランスが崩れたままになっているのかもしれない。

 今後いろいろな不動産の契約体系が生まれてくると思う。現在使用されている契約のほかに例外規定を前面に出したようなものや特殊性を帯びたものなど多様性を見せると思われる。法律も契約体系もその時代背景や状況の影響を受けながら良くも悪くも変化する。それをどのように使い、どのような業態を強くしていくことが戦略性として重要なのかを見極めなければ成長性、採算性の無い業務内容になってしまう。常に情報を求め、対応し、経験として吸収できる不動産会社が今後生き残っていくのではないだろうか。