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不動産競売 or 任意売買 ?

私が理事長を勤めるマンションで マンションの区分所有者である組合員Aさんが管理費等を 5か月分以上滞納しているので理事長名で管理費請求の内 容証明書を出したところ、滞納区分所有者が相談に来まし た。 平成2年のバブル期に買ったマンションでローンの返済を 3ヶ月以上滞納していて今後ローン返済が困難で、金融機 関から任意売却するように言われている。 滞納区分所有者Aさんはこのまま任意売却に応じなければ 不動産競売にかけられてしまう。 はたして任意売却したほうがよいのか、それとも不動産競 売にかけられた方がよいのか教えてほしいと相談されまし た。

マンション組合員 さん / 札幌市

私も仕事柄、そして今まで不動産競売を数多く手がけたこともあり(落札件数900件以上)ローンの支払いに困った人から相談を受けたことがあります。 その時決まって競売を選んだほうがよいと言ってきました。 ただ現在のデフレ下では、債権者である金融機関は競売はできるだけ回避し任意売却を勧め説得するはずです。 その理由は ①競売開始から売却(落札)まで半年くらいかかる。 ②競売後の債権回収が難しい。 ③落札価格が市場価格を下回る可能性が高い。  任意売買の場合は概ね不動産業者に依頼するわけですが 売買が成立した場合に債務者と債権者との間で公正証書を作成します。債務者にとってはこの公正証書が後で ずっとついて回り残債務の支払をしていかなければなりません。場合によっては強制執行される場合もあるようです。 競売の場合は債権者のほうも不良債権処理ということで あまり残債務に関して追求してこないでしょう。 実際私が相談を受けた人たちもそうでした。 一概に競売・任意売買どちらがよいとは言えませんが、 債務者の方がローンの支払いを継続していくことが困難な場合は競売をお勧めしたほうがよいのではないでしょうか。 ただし、金銭消費貸借に連帯保証人が入っている場合は、 問題も出てくるでしょうが。 その辺は金銭消費貸借の中身を今一度検討してみるとよい でしょう。 金融機関も不良債権処理で公的資金(税金等)のお世話になっているご時世です。ローンの債務者も公的な競売という制度で事態の打開を図るのも有効な手段といえましょう。

山崎勇司 / マンション管理士