マンション投資の鉄人

<<一覧へ戻る

第二十五の鉄人

Ⅰ.今の経済情勢から思う 私のマンション投資の20年(2) リセット

鳥取県在住 T.T.

5年の間に持ち物件数に変化はありません。13室のままです。収益は少しずつ減っています。家賃減。当然といえば当然。マンションは古くなり、周りは供給過剰、競合が増えています。しかも人口減。世の流れがそうです。収益が減ってきたなら補わなければなりません。新たに収益(家賃)を生み出してくれるマンションを購入すべきなのでしょうがしませんでした。物件価格が高騰し始めたからです。

そうした中で私のマンション賃貸経営で唯一の変化は、ローンを繰り上げ弁済で全て終了させてしまったことです。「守り」とでもいうのでしょうか。自分の身の回りの変化に合わせて、身辺整理をしておく。「攻める」(=購入)ことを止めて縮小するとかいうことではなく、次へのステップのために。リスクは極力減らしておくということを選びました。リスクとは金利上昇リスクです。また今後のために銀行の与信も考えました。

2012年末頃からアベノミクス景気が起こり、株価が急上昇しました。すごく分かりやすい変化でした。私は迷ったら行動するタイプです。後で後悔しないように。「ない」とは思いましたが、金利上昇の可能性がもしかしたら「ある」かも知れない。100%ないわけではない。金利が上がれば苦しくなる。「であれば行動!」です。ローンを全額繰り上げ弁済しました。いろいろかき集めて多少無理をしましたが終わらせました。

ローンを組んでいたのが13物件中8物件。その中、一物件だけローンが自然に終わりました。初期に購入した15年ローンの北大近くのものでした。他の7物件は繰り上げ弁済したもののローン期間の70%~80%ほど終わってからの返済でしたから金利分はほとんど支払っておりあまりメリットはありませんでした。繰り上げ弁済は、ローン物件が複数ある場合、①ローン金利が高いもの、②借入期間が長いもの、③元金の大きいものから繰り上げ弁済するのが鉄則です。

そのアベノミクスですが3年を経過し、結局は金利に変更はほとんどありませんでした。「やっぱり!」という感じです。が、しかし金利上昇リスクの可能性が「少しでもあるなら」、という考えのもとでしたから。「迷ったら行動する」か「迷ったら止めておく」か、状況によって使い分ける意思決定は万一の時に「後悔したくない」という気持ちが勝り、「行動する」を選び、全額繰り上げ弁済しました。その時は、金利上昇は「ない」とは思っていましたが、少しでも金利上昇の「可能性がある」なら、ということで、金利が上がった時後で後悔しないように返してしまってゼロに戻ろうとしたわけです。

ちなみに、ローンを返し終わったあとの安堵感、喜びは格別です。精神的開放感。マンションが「やっと自分のものになった」という思い。今までは所有権はあるものの銀行のものでしたから。しかし心底喜べません。マンションを所有する限り、管理組合の構成員ですからマンションを維持するための管理費・修繕積立金の支払いはあります。要はまだ違った形の支払いが続くわけです。ローンと同じ毎月必ずまったなしの請求・引き落としを受けます。

そして、年一回の固定資産税もそうです。これも毎年4月待ったなしです。月々、家賃が入ろうが入るまいが関係ありません。税額は年間家賃にするとその10%位です。そういう意味ではマンションという不動産は国のものであって、完全に自分だけのものにはならないということです。鬼のような世の中です。でも税金を支払うわけですから社会貢献していると考えれば気持ちも豊かになれます。マンションを持ってしまったらこのように出費は永遠に続きます。