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マンション管理士 遠藤
今年の目標はモノを減らすことである。
昨年は知人がフリーマーケットに出店するのに便乗して、家の中やトランクルームの不要なものをかなり処分できた。このことがきっかけとなって、どんどんモノを処分するということにとりつかれて、休日をそれに費やしたりした。
それでもざっと自分の住まいを見渡すと、まだまだモノがあふれているのだ。ひとりで3LDKという間取に住んでいるせいかも知れない。ひとりで75㎡を占有するというのは、まあまあゆったりした暮らしを想像するかもしれないけれど、ざっくばらんな話ざっくばらんな生活になってしまうものだ。
とりあえずモノを見えなくすることにはこと欠かないのである。
これがクセモノで誰か遊びに来たりすると、「きちんとしている」とか「すっきりかたづいている」と言ってくれるのは、ただ見えるところしか見ていないからだ。
モノを処分していて一番困るのが本。ある小説の中に、図書館から本を何冊も借りて読む「本の虫」(正確にはイタリア語だったけれど)と呼ばれる女性が登場する。
彼女は「本は読みたいだけで、持ちたいわけじゃないもの」というのだ。自分はどうだろう?と考える。とてつもなく増えるばかりの本を目の前にして。
本は読みたいだけじゃなく、本に埋もれて生活したいと切望する。いつでも読みたいものが手元にないと不安なのだ。いつかまた読もうとか、きっとまた読む日がくるかもしれない本に囲まれて生活したい。本以外のものはきれいさっぱり捨ててもいいとさえ思う。
衣類も雑貨もそのほかレジャー用品も片っぱしから捨てた去年の夏以来、靴を一足買うのにも今持っているどれかを捨てるならと考える。トランクルームもクローゼットもガラガラになったら、バックパッカーのように自由になりたいと思うようになってきた。
モノを持たないと守りの生活から解放されるようだ。ひとりならワンルームに収まる荷物で十分じゃないかと思う。ウィークデイは都心に便利なワンルームを借りて仕事をし、仕事以外の日は緑あふれるウィークエンドハウスで本と音楽に囲まれ、料理や散歩を満喫する生活スタイルにあこがれる。