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マンション管理士 遠藤
時代とともに憧れの職業、注目の職業というのも移り変わっている。
私が学生時代の憧れの職業は、何といっても「通訳」「スチュワーデス」であり、次が「ツアーコンダクター」だった。外国語を極めて、国際会議などの同時通訳として活躍するか、航空会社や旅行代理店に就職することを夢見ていた女子学生がたくさんいたのだ。要するに外国へ行けるかもしれない状況、というのはイコール「花形職業」になっていたのではないかと思う。
最近の航空会社は大手の経営不振や不祥事でイメージダウンを余儀なくされた。これらにともなう大規模なリストラで、客室乗務員と呼ばれる方々の多くは契約社員で時給1,500円だという。もはやあこがれのスチュワーデスではなくなってしまった。今ではテレビ局の「女子アナ」が花形といえるだろう。
不動産業者もバブル期はある意味注目の職業だった。しかし、そこには「花形職業」という定義は成り立ってはいなかったと思う。不動産業はお金儲けの手段であり、派手で危険なイメージが主流だったようだ。当時は宅地建物取引主任者の受験者数もピークに達していた。
そのほかコピーライターやイラストレーターが脚光を浴び、マスコミに登場するようになるとそれらの養成講座ができ、誰もがチャンスをつかもうとしていたのだった。しかし、かつてちやほやされた肩書きをもつ諸先輩たちはすっかり過去の人となり、本来の文筆業に専念するなり、コンピュータグラフィックに圧倒されて制作活動もままならなくなってしまったのだ。
大昔「キーパンチャー」という職種が大人気だったと聞いたことがあるが、似たような「タイピスト」とともに死語となってしまった。コンピュータの出現とその進歩に応じて多くの職種を葬り、新しい職種を生み出している。
「花形」とは特に、桜の花をかたどったものであるから、いつかは散るもの。ある時だけ人気の中心になっているということだ。散ってしまえば後は忘れ去られるだけの存在なのだ。
不動産の管理などやっていると、ぱっと咲いてぱっと散ることもない地味な職業だと思うが、数年前のマンション管理士ブームや昨今のマンション問題で少なからず認知度はアップしてきている。サボテンのようにまっすぐに、勤勉で誠実にやっていけば、いつか小さくても花を咲かせることができると思う。