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草野 裕樹
11月は本州でいうなら紅葉の時期であるが北海道の11月は既に初冬である。12月は年末という事もあり、初冬というその時期に引越しをする人はそう多くない。雪が降り、気温もグッと下がるその状況で、わざわざ引っ越しという重労働を好き好んでやる人が少ないためである。この時期(本年)の不動産の需要はどのようなものであったのだろうか?
先述の通り、11月という月を単月で見ると賃貸のほうでは成約件数及び契約単価をみても、そう大きな取引には、なっていない。むしろ安い物件、特に家具付きのお手頃賃料の物件に需要があったようだ。場所というカテゴリーではなく、価格の面が前面に立った内容(結果)のように見える。また、個人契約だけではなく法人契約についても同様の傾向が見受けられた。特に法人契約においては従来よりも価格面を重視しある程度の希望を満たしていれば良いといった方針変換ともとれる印象が強かった。
では売買のほうはどうだったのだろうか?こちらは新築需要よりもはるかに高い需要があり、新めで広さがあるもの、特に便利さがウリとなっている物件は結構時間をおかずして成約になっているようである。また、実際契約とまでいかなくても、販売資料をネットに登録したり、新聞の折り込み広告などを打つだけで多くの反応があるところをみると数年前に比べて数倍の隠れた需要があるのだと思われる、そしてその奥底にあるのが「中古物件」に対する需要の見方の変化があるのではないだろうか?新築物件は確かに最新設備が整い、今までなかったようなサービスが付いてくることも少なくない。コンセルジュサービスや共用設備の拡充(共用談話スペースや館内における小規模商業スペース、小さな子供を遊ばせるための育児スペースなど)など、他の新築物件に負けないような新サービスで新築顧客需要を獲得するためにどんどん生まれていっている。実際あるのとないのでは生活の水準が全く異なってくるであろう。しかし、それらも時が過ぎれば新築とは言わず、一旦人が入居したものが販売となればそれば中古物件として扱われる。また、そこまでのサービスは付いていなくても、ある程度便利な場所にあって、良好な管理がなされていれば時間をかけなくても販売が出来ているようである。
また、「不動産は管理を買え」という言葉があるが、まさにその通りで、いくら新築でも管理がずさんであれば相場価格は下がるし館内の雰囲気や環境はどんどん悪くなる。また、設備異常が発生した時にきちんとした対応をとれない物件・管理会社なども大きなマイナス要因となる。
きちんとした物件・良い管理が行われているマンションは新築にも勝る需要があるのではないだろうか?