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草野 裕樹
今年の春の繁忙期もいよいよ終盤になってきている。その年によっていろいろと様変わりする賃貸の重要だが、今年はどのようなものであったのだろうか。そしてその内容にはどのような特色があったのだろうか。
例年通り今年も北海道大学の入試の際に朝チラシをまいたのだが、いつもりも受け取る数が少なかったように感じる。また、チラシ自体を配布に来る業者にも数の減少が見受けられ、徐々に変わりつつある募集方法を反映しているのかと感じる。実際現代社会においては高度情報化社会が確立し、従来のような紙の媒体による広告能力にも限界が見え隠れしている。ネット広告を主とした写真や動画を見ることが出来る大容量広告が多くあり、広告量が限定的な紙の媒体に取って代わっている。そして現代においては従来のパソコン画面で広告を見るという行動から、携帯電話などの端末でみるというところまで変わってきている。自宅にいなくても、会社にいなくても手軽に、どこでも情報を得られるようになってきているのが賃貸や売買の動向にも大きく影響を及ぼしているものと考えられる。
今年の賃貸の動向も、ネットを見てきたという来店客や電話での問い合わせ非常に多かった。ネットを見ながら問い合わせをしてくるケースも多く、細かい点まで自分なりに確認しているケースも少なくなくない。また、そういった問い合わせをしてくるお客さんは高い確率でお申し込みをしてくることも特徴である。ある程度自分なりに研究し、希望の条件と合致するかどうかを来店する前に、かつ、案内においてお部屋を確認する前に判断してきている傾向がある。そのため、来店し、部屋を見るのはあくまで確認のためであり、ある程度の目星と申し込みをするつもりで来店・問い合わせしてくるケースがほとんどである。特に家具家電付き物件の場合は絶対数が少なく他の希望者と競合することもあるので、選ぶほうもいろいろな情報を入手しながら決めているのだろうと思う。
そして今年の最大の特徴は、希望する家賃帯の大きな下落ではなかろうか。震災の影響を大きく引きずっているのかもしれないが、かつてのような家賃が高くても良いから便利で機能性が高く、セキュリティも整っているというような希望はそれほど多くなく、どちらかというと希望を妥協してある程度割安感のある物件のほうがより選ばれているような傾向がある。実際現場において選ばれているのはそのようなものであるし、家具家電付き物件が多く成約するのは、引っ越しや物を買う手間と時間、そして費用をかけないで済むということからきているのである。何も無いところに一手間加える事で、便利さと借りる側の経費負担を少なくして入居率を大幅に上げる効果を得られるのである。
今の動向を掴むには、如何に利便性とコストパフォーマンスで他の物件との競争を優位に進めるかである。今の世の中は不動産会社が競うのではなく、物件が他の物件と競い、比較される時代になってきたのではなかろうか。