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草野 裕樹
夏の暑さが目立ち始めた初夏であるが、賃貸の動向に以前では感じられないような動きが見受けられる。昨年との違いを基に推考していたいと思う。
この時期の賃貸は、例年であれば引っ越し自体も少なく問い合わせの食いつき自体も他の時期と異なりかなり弱かったり繋げることが出来なかったりするのだが、今期についてはだいぶ様相が違ってきている。特に法人契約における人の移動が増しているようで家具付き物件の需要が特に強い。昨年であればこの時期から9月末くらいまでの期間で避暑を目的に部屋を借りる需要などがほとんどで通常の人の流れが大きく前面に出る事は無かった。また、震災の影響もあり経済、流通、物流にも大きな影響を受け、全てにおいてダウンしていたというのが正確な話なのかも知れない。しかし、ここにきて停滞していたものが一気に放出されているような勢いで賃貸の申し込みが入ってきている。また、申し込みの入る場所については偏りが出てきているように思える。
申し込みが入る物件にはいくつかの特徴がある。まず場所については札幌駅から北側であったり、街の中心部であることが挙げられる。街から遠くなっていけばいくほど申し込みは入りづらい状況が構築されつつあるのかもしれない。設備についても、中途半端な家具付き物件には全く目をくれず、基本的な装備は全て整っているような物件に競合して申し込みが入りやすくなっている。日当りなども従来は重要なポイントであったが、期間が短い契約の場合「その期間だけ」という頭があるのでそこまで重視されなくなってきているような傾向が見受けられる。もちろん、全てにおいて環境が整った物件が申し込みが入るのは通例の事であるが、そうではないものでも勢いよく決まっていることが今年の夏の賃貸の特徴といえるであろう。
では逆にどのような物件が決まりにくいのであろうか?人には好みがあるため全てが当てはまるというわけではないが、安くても古い物件、そして周辺にある程度の買い物が出来るような場所が無い物件はなかなか決まりづらい。実際決まっている物件はコンビニやスーパーはもちろん、銀行や病院などが近くにあるものが多い。また、探す方からの意見には「街灯が多い場所」というようにセキュリティや周辺環境に気を使っていることも見受けられる。安い=良い物件という考え方が、正論ではなくなってきていることの表れなのかもしれない。
今後の不動産の動向は大きく変化することが予想される。気候の変化や災害、人気の変化など多くの要因はあるであろうが、常時変化をしていてちょっとしたきっかけを基に大きな変化をもたらすこともあり得る。その中でどのようなものが、どのような場所が、どのような性質のものが決まりやすいのかを現場にいて自分の中に取り込んでいく必要があると思われる。