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改正耐震改修促進法(9/7)


営業部 三原 健太郎

 改正耐震改修促進法という法律が3月に閣議決定されました。
 背景としては大規模な地震の発生に備えて、建築物の地震に対する安全性の向上を一層促進するため、地震に対する安全性が明らかでない建築物の耐震診断の実施の義務付け、耐震改修計画の認定基準の緩和等の措置を講ずること、だそうです。

 改正の概要をまとめれば以下の通りです。
・不特定かつ多数の者が利用する大規模な建築物等に対しては耐震診断の義務付け耐震診断を行い、その結果を一定の期限までに所管行政庁に報告しなければならない。
・現行の建築基準法の耐震関係規定に適合しない全ての建築物を対象とする。
・所管行政庁が建築物の耐震改修の計画を認定することができる増築及び改築の範囲を拡大するとともに、増築に係る容積率及び建ぺい率の特例を講じる。
・建築物の地震に対する安全性に係る認定制度を創設し、当該認定を受けた建築物の所有者は、当該建築物等にその旨の表示を付することができる。
・区分所有建築物の耐震改修の必要性に係る認定制度を創設し、当該認定を受けた区分所有建築物については、区分所有者の集会の決議(過半数)により 耐震改修を行うことができる。

 要は古い大型施設(ホテルやスーパー等)に耐震診断を義務付け、耐震補強、改修工事の努力義務を課すというもので、法律の施行にあたり施設所有者にとって悩ましいのは多大な改修費用や診断結果が公表されることです。費用が工面できず耐震不足と診断されれ
ば危険な建物として認識され商業施設にとっては客足が遠のく可能性が出てきます。

 利用者にとっては有益な情報となり、古い建築物、また公共性の高い建物の改修を促すということでは必要なことかもしれませんが、建物に対するこの法律の適用に関しては1981年の建築基準法改正が判断基準となっていて建築年で線引きをしています。
 地盤や地域差が考慮されていないため柔軟な運用をしてほしいという声が多いようです。
 たとえば北海道などは冬季間の断熱や積雪の重量に耐えるため、建築基準法改正以前の建物でも十分な強度を備えた建物が多いようですし、逆に地盤の弱い地域では新しい建物であっても倒壊等の可能性は否定できません。

 一部、一定の基準を満たせば国や自治体の補助があるようですが、北海道に関しては道を含めほとんどの自治体で制度がないようです。柔軟な対応と公的支援の充実が必要となってくると思います。