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2月レポート(2/8)


営業部 草野 裕樹

 昨年から続いている不動産の盛況ぶりがピークを迎えている。アベノミクスから大きく影響を受け、バブル期以降無い勢いで数多くの不動産が契約となり、取引となっている。その中で普段は目にしないが意外なほど活況がある場所がある。それは不動産競売である。裁判所が行うものもそうだが、地方公共団体や国が行うものまでも盛況であると聞く。我々不動産業に就くものが入札を行うときは必ず下調べを行い、取得に係るまでの費用や経費、そして需要と販路を計算して、かつ販売した時の利益なども考えながら入札を行うが、今の不動産競売は業者が参入できるような甘いものではなく、価格だけを見ると一般的に流通しているような価格であったり、むしろ一般的な流通物件を買ったほうが安かったりする価格で落札されることも珍しくは無い。不動産競売であるから一番高い金額で札を入れたものが最終的な購入者になる事が出来るわけだが、どのような人がその権利を得ているのだろうか?

 実際裁判所などへ行くと現在どのような案件があるかを細かく調べる事が出来る。またネットでも調べる事が出来、かつ画像や参考資料なども見る事が出来る。競売に参加しやすい環境が整えられているわけだが、競売なのでローンも使えなければ、自分の希望する日を選んで権利を取得するようなことも出来ない。そのような状況下で盛んに競売に参加し、落札していくような人々・・・それは大手の不動産会社でも、建築会社でもなく、ごくごく一般的な人たちなのである。不動産会社に勤めているわけでもなく、不動産投資で食べているわけでもない一般の企業に勤めていたり自営業を営んでいる人たちが気軽に競売に参加し落札していくのである。中には主婦の人もいるかもしれない。そんな一般の人が普通に参加し落札していく風景は以前では見られなかったものである。これはお金が市場に回っており流通しやすくなっている事を意味するわけだが、ではなぜ競売を気軽に利用するようになってきたのだろうか?

 ネット普及が一番の要因であるのは確かだが、そのほかの要因として競売で出てくる物件の中には市場にはなかなか出てこなさそうな希少な物件なども出てき売るためではないだろうか?通常であれば市場に物件が出ないため買うことが出来ないマンションや戸建て、土地であっても、滞納などが理由となる強制競売の場合は出てくる可能性があるのである。しかも一番高い金額を入れれば取り下げなどが無い限りは必ず購入することが出来るのである。そのため以前から欲しいと思っていた人にとっては市場で不動産業者を通じて購入するのとほとんど金銭的には変わりは無く、裁判所や地方公共団体が行うという安心感から参加が多いのではないかと考える。ただあくまで競売は競売なので、付きまとうリスクは一般の不動産取引とは比べ物にはならない。落札後の処理は自力でやらなければならないし、何事もなく落札した不動産が手に入るなどという保証は一切ないのである。もしかしたら隠れた瑕疵があるかもしれない。もしかしたら引き渡し時に室内を確認したら散々に破壊されているかもしれない。そうしたリスクを考慮しても手に入れたいものが出てくるのが競売の魅力であるのかもしれない。

 そういった物件は不動産会社としても是非落札したいと考えるが、経費的なこと、リスク面、業として行うので利益も考えなくてはならない。そういった事を考えると一般の人々のような思い切った金額は入札は出来ないというのが現状なのである。

 これから少子高齢化がどんどん進み、一層競売物件などが出てくるように予想される。そういった時、どのようなものが需要があり、考えるリスクは何か、そして出口は確保できるかを読み切れないと今後の不動産競売にかかわる不動産会社は厳しい状況になるかもしれない。