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営業部 草野 裕樹
先日会社から持たされている携帯を何気なく見ると不在着信と留守電が吹き込まれているメッセージが出ていた。何だろうと思い誰からの着信か見てみるが見たことも無い番号だった。何だろうと思い留守電を再生してみるとマンション内で遺体が見つかったというものだった。状況を確認するために着信のあった携帯番号の主にかけ直してみると結果報告としてそのようなことがあったので連絡をしたということだった。状況を確認して私も上に報告を行ったが、私自身としてはあまり驚かなかったし通常通りの返答と処理を淡々と行っていくのが分かった。
私はこの不動産業に就いて10年以上になるが今まで何体の方をそのように処理してきたかもう覚えていない。処理といっても簡単に部屋に入って何かをしたり確認できるものではなく、最悪の場合の「発見」に至るまでにもいろいろな確認作業があり簡単に入室することは出来ない。何も確認しないまま入室して、何でもなかった場合、それは単なる不法侵入になってしまう恐れがあるためだ。入居者のみならず保証人になっている人、家族、連絡先や職場など確認できそうな場所なら戸惑うことなく連絡を入れ確認作業を行い、どうしても本人に接触できそうになかった場合に管理会社及び管理人、警察などに連絡を入れたうえで、かつ、連帯保証人などと共に最終確認作業(入室)を行う。何も無ければその後も確認作業を行ったりするわけだが、最悪のケースに至り室内で事故が発生していた場合は迅速に関係各所に連絡し、必要に応じた「処理」を行っていく。その「処理」の一番重要な部分は警察のほうで調査ということもあり実行してくれるわけだが、その後の内装や費用の負担、今後の募集についてなど多くの問題が一気に湧いて出てくる。全ての問題に迅速に対応できなければ時間だけがいたずらに過ぎていき臭気や汚れ、衛生上の問題など多くの不具合が発生することにもつながりかねない。特に遺族との話し合いは、直後間もないと遺族から文句を言われ、時間が経ち過ぎると所有者からはどうなっているか責め立てられ、遺族からは亡くなった人間の事だからと「しら」を切られることも珍しくない。間のおき方も重要なのだ。感情移入せず粛々と処理を進めることが一番抱え込まないで平等な見地から処理が進められるのである。室内で事故があったからしばらく貸すことが出来ないとしてその分の補てんを求める訴訟なども全国で何件か起きているがその都度判事される内容が異なり時間と費用を費やして徒労に終わってしまうことも少なくない。まさに「事故」なのだ。言い方を変えると事故にあったと思って速やかに対応するほうが後の募集や処理がしやすくなり、早ければ早いほど傷口は浅くて済むのである。
実際は様々な状況が絡み合って一筋縄ではいかないことがほとんどだが、対応が「出来る」業者なのか、「出来ない(知らない)」業者なのかで万が一の事故があったときに、その後の資産価値の維持及び運営という中で大きな違いが出るのではないだろうか。