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営業部 草野 裕樹
今日住宅であるマンションにおいて、人間が生活するうえで起こりやすい事故として「漏水」があげられる。人間が生活を営む上で水やお湯は必須であり、必ず毎日のように使用するものである。キッチンも、お風呂も、洗濯機も、トイレもそうである。給水設備を通じ運ばれ、至る所で利用し、至る所に存在するのである。道具の発達による利便性とは裏腹に、利用しやすくなればなるほど水漏れの機会も増えてくるのである。先日対応したマンションも道具が便利だからこそ起きた漏水であったと思う。
先日対応したのは上階からの漏水で、脱衣所内に水が漏れてきていた案件だった。被害といってもそう大きくはなかったが天井材は濡れ、一部分にはシミができていた。床も水たまりができており、持参したバケツと雑巾ですぐに対応を始めた。あらかたの水を吸収し、落下点にバケツを配置したのち上階の確認へ向かった。原因個所の確認と復旧をするためである。チャイムを鳴らすと入居者が出迎えてくれて、すでに原因個所を突き止め対応したとのことであった。一応現場の確認を行うため中に入れてもらい、説明を受けた。原因となったのは脱衣所内にある洗濯パン周り。普通に考えると漏水とは無縁の場所である。洗濯パン自体が漏水を防ぐための道具であるためだ。プラスチック素材でできており、塀に囲まれたような窪地形をしており、その中心に洗濯機を配置する。万が一水が洗濯機から漏れても塀が食い止め、自ずと排水溝に流れ落ちる構造になっている。その洗濯パン自体には問題がないが、そのパンの淵、つまり塀の部分が今回の要因になっていた。洗濯機に水を注入するためにホースを給水管に接続してあるのだが、お湯と水の二本のホースがあって、水は常時洗濯機に接続、もう一本のお湯のほうは洗濯機後方へブラーンと垂れ下がっていた状態であった。(見えない状態)問題はその給湯のほうで、おそらく洗濯物を洗濯機から引き出す際に触れてしまい、若干の開栓状態になり、また都合の悪い事に吐水口が壁に触れていたため壁伝いに流れ落ち洗濯パンと壁の間の隙間に入って、漏水したというものであった。ホースが繋いだままにしていなければ、洗濯パンと壁の間がコーキングしてあったなら、防げた案件であったと思う。いくつかの不運が重なって漏水は発生したが、その処理以上に加害者のストレスは大きいものになってしまった。現在保険対応中だが、万が一保険にも入っていなかったらと考えると怖いものがある。事実、数年前に深夜たたき起こされた案件であるが、常時加圧されている洗濯ホースがいきなり外れ、何トンもの水が流れだしたという事故があった。その時はエレベーターも不能になり、加害階は6階であったが、一階の店舗にまで漏水し莫大な損害賠償を食らう羽目になった案件を知っている。漏水事故の大なり小なりはあるものの、保険が非常に大きな意味を持つことがわかる。事故を起こすということは、車であれ、自転車であれ、人間同士であれ、大きなストレスになる。保険があるから大丈夫とのんびり構えていれるような案件でもない。金銭的な保証はそれで出来ても、因縁は残るからだ。保険対応で元に戻るものもあれば、元に戻らないものもあるのである。
ちょっとした注意で防げ、ちょっとした不注意で発生する大きな傷。入退去を立ち会う際に一声かけるだけで、もしかしたらだいぶ違った答えが出てくるものなのかもしれない。