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営業部 二瓶 卓真
全国の不動産流通会社246社が参加しての「ITを活用した重説(重要事項説明)にかかわる社会実験」が、今年9月から始まったそうだ。
まず、「賃貸取引」と「法人間取引」の2つを限定対象にして、テレビ会議システムを利用し、画面上で取引相手と対面して重要事項の説明をする社会実験を、来年1月まで実施するというのだ。
これまでも、不動産業界はパソコンの普及とともにITを活用してきている。
最近では、さらに身近な存在としてタブレットやスマホの普及率がPCの普及率を超える勢いとも言われている。不動産の仲介店舗などでは、店頭にタッチパネルを設置してお客さまが自由に物件や地域情報を検索できるようになっており、様々なサイトで最新の物件情報が大量に提供されている
こうした中、国土交通省では、不動産取引での重説においても、ガイドラインを策定し、今回この社会実験を開始したのだそうだ。
社会実験をしている246社は、大手ばかりでなく地方の業者も多数参加しており、半数以上の128社が、首都圏以外の業者だという。
実験では、宅地建物取引士が取引相手と画面上で対面し、取引士証を提示して重説に入る。一方、取引相手も、従来の本人確認と同じように、免許証や戸籍謄本、住民票などを提示し、本人であることを証明する。
重説では、物件の画像や図面を使って伝えたり、電子署名の仕組みを使った書面の交付もしたりする。こうした実験により、問題点の整理・検証を行い、その結果次第で、この重説を解禁するかどうかの最終判断を下すのだそうだ。
この実験により、どのような効果、メリットがあるのかも判明するだろう。直接対面で行う必要がなくなるため、取引者同士の時間とコストが大幅に削減され、ユーザーが移動する必要もなくなり、遠隔取引には大きなメリットが発生しそうである。
その上、重説の記録がデータとして保存され、トラブル防止にも役立つ可能性がある。
この重説によって、契約まで一貫してIT化されるようになれば、かなりの効率化が図られ、顧客サービスが一段と向上されてくるだろう。特に、高齢者や障害者にとってはメリットが多く、不動産業者にとっても、ゆくゆくは店舗を構える必要がなくなる時代が来るかもしれない。
この重説が導入されれば、不動産取引の形態が大きく変わってくるのは間違ないだろう。様々な業界でIT化が進んでいるが、不動産業界のIT化もここまで進んでいるのだと認識させられた出来事だった。