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営業部 草野 裕樹
今年もゴールデンウィークが終わり、ようやく年明け頃から始まる春先の繁忙期が終わろうとしている。一般的には3月にはみんなが引っ越して不動産屋の仕事も4月には落ち着くんだろうと思われているようだが、実際はそんなに甘くない。特に今年は例年とは少し違った動きを見せていたため、なおさらこれからが忙しくなっていきそうである。
年明けから3月までは移動や転勤、進学・卒業など多くの引っ越しがある。つまりその数に比例して不動産は流動化し、既存のストックとして存在していた不動産(空室)、空き予定や新しく建築された物件などを含め動きが出てくるのである。もちろん実家に帰る人や国外に出る方もいるため入る人と出る人の数が同数になることは決してないが、動き自体は両方とも相応に出てくる時期である。その時期は通常よりも不動産の動きが激しいため押えも利かずトラブルになったりする。例年であればその動きは3月、遅くとも4月中旬には落ち着きを見せて、5月に入ることにはその反動からかまるで仕事が無い様な錯覚に陥るような落ち着きの取り戻し方をする。
しかし今年の5月に関してはそのような例年の動きが見受けられない。実際不動産の動き自体は止まっておらず、ゴールデンウィーク中も、現段階でも賃貸や売買を通して申し込みが入ってきている状態である。この状況の裏には何があるのであろうか?実際新入学シーズンや新社会人・転勤などの動きは3月でほぼほぼ動きは収まる。4月から正規の動きを行うためだ。4月には新しい学び舎、新しい職場で新しい生活が始まるためである。今年の春先も多くの方がそれを理由に来店され、契約し、そしてすでに新しい生活を始めている。一方で、時期がずれて動き出している需要もあるのである。それがマンスリー契約や法人契約における地方研修制度などである。またこの時期から工事をしやすくなるので土木関係の宿舎としてのマンスリー契約も少なくない。以前であれば3月までに物件を探し、4月からは一斉スタートという、決まりきった流れが定着していたが、契約体系の多様化、様々な要求にこたえていく企業スタイル、柔軟性を持った派遣型システムの活用など様々な社会環境変化に応じて契約体系や契約スタイル、そしてその期間的なものも含めて多くの変動や変化が起きてきているのである。これが今起きている例年にない「多忙さ」であり、掘り起こされていなかった不動産の需要ではないだろうか。
社会環境の変化に取り残された業種・業界は衰退滅亡の一途をたどる。如何に時代と合わせたライフスタイルを提案するか、つかみ切れていなかった需要をいかに対応し、答えていくかが今後の不動産業界の生き残りをかけた手法になっていくのではないだろうか。