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札幌の地価②


営業部 二瓶 卓真

 前回のレポートで一度触れているが、札幌の地価についてもう少し掘り下げて調べてみた。
まず、札幌市の商業地について。
札幌駅周辺地区のオフィス、店舗に関し、ともに需要が活発化している。大通り周辺地区では、平成27年12月の市電ループ化により、沿線商業地域では利便性が向上し、また外国人観光客の増加もあって地価が上昇している。さらに地下鉄駅周辺では、マンション素地の需要が活発に見られる。
 具体的に見ていくと、札幌市の商業地は、4年連続で上昇し、中でも中央区は、上昇率が高い。これは、区の中心部でオフィス需要が増加し、空き室率が3%台と引き続き低下しているためで、駅前通り、及びその周辺での再開発ビルの竣工や建て替え等が活発化している。
 中心部周辺の大通り西、創成川東地区、すすきの地区は容積率が高く、ホテル用地需要等を背景とした高値取引もみられ、地価上昇率が高い傾向となっている。とくにすすきの地区では、中心部に立地するビルの建て替え、外国人観光客の増加、ホテルの客室数不足もあり、周辺でのホテル用地の高値取得が明らかになった結果、地価が大幅に上昇した。
 豊平区は、昨年の増加から、さらに上昇。地下鉄駅周辺の利便性・地域性の良好な地域については地価上昇傾向にあり、マンション・アパート建設目的の需要が多く見られている。とくに商業地は売り物件が少なく、売りが出るとすぐ売れる状況にあるという。
 北区も、昨年の増加から、さらに上昇。大幅な上昇地点は札幌駅北口の最高価格地点をはじめ、地下鉄駅周辺の地域にある。札幌駅北口エリアは、収益物件の利回り低下傾向に加え、オフィスビルの空き室率低下、及び駅南口と比較すると安いことから、需要は根強いものとなっている。
 次に、札幌市の住宅地の動向を見てみる。札幌市の住宅地は、商業地と同様4年連続の上昇となった。中央区の上昇率は昨年と比べやや鈍くなったものの、北区、白石区、西区、東区等で前回を上回る上昇率となった。これは、地価の高い中央区から、比較的安めの隣接区等、利便性の高い地域への地価上昇の移行とみられる。また、昨年に比べ貸家の新設住宅着工戸数が大幅に増加している。
 今後の傾向としては、札幌市が関係する再開発物件、創成川以東への大通り公園延伸計画、バスターミナルや商業施設の整備、現NHK札幌放送局への市庁舎の移転等などがあげられる。
 ついでに札幌市以外の北海道の主要都市の動向を見ると、小樽市は観光客増加により、最高価格地のメルヘン交差点付近の地点が上昇へと転換した。また、俱知安町も外国人観光客の増加により市街地の商業地でも飲食店の新規オープンが増加するなど投資需要が活発になっており、昨年の上昇率を上回る上昇率を見せた。
 函館市は、昨年3月26日開業の北海道新幹線需要が注目されていたが、現在まで利用者は開業前の予測を上回っており、新幹線利用者の多くが新幹線駅から函館ライナーに乗り換えてJR函館駅へと向かっている。このため、函館駅前のホテルの稼働率が上昇し、飲食・土産物店等観光関連の事業が好調を維持している。
 地価が上昇したからといって、素直に喜んでいいものかどうかということは別にして、スキーリゾート地であるニセコも海外からの移住者が増えていると聞くし、札幌だけでなく各地方都市がそれぞれの特色を活かし、北海道全体が盛り上がればいいなと思う。