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第六の鉄人
神奈川県横浜市 S.I.(都市銀行勤務)
不動産は全ての社会活動・経済活動を支えている
一般の人々は「不動産」と言うと、いろいろな印象・イメージを持たれ、その幅は大変広いと思います。
人々は太古の昔より、この不動産と天然資源・自然環境と大変深い係わりを持ち、生きて来ました。現在社会でも、人々の住居、勤務しているオフィス・お店・本社・工場、そして通学している学校や自治体も不動産の上に成り立っており、どんな小さな社会活動・経済活動や行政活動も不動産に支えられていると言っても、過言ではないでしょうか。
そんな考えから私は学生時代から、この不思議な『不動産』に興味を持っていました。21世紀は首都圏では、千葉県が発展する有望な県と考え、昭和46年に坪9000円で千葉県のある市内の山林を購入しました。その土地は間もなく、土地区画整理事業に編入され、その組合活動を通じ大変良い勉強をさせていただきました。当時私は、希望の商社ではなく、ある都市銀行に入社、2年目の年でした。その後、我国経済はニクソンショック、第1次オイルショックと激動の流れに呑み込まれていきます。さて、その土地は多少時間はかかりましたが、まずまずの宅地に生まれ変わり、隣接地まで大手の建売が並び、美しい街並みに変貌しつつあり、昔の山林は全くそのおもかげを見る事ができません。
以上述べて来ましたが、私の不動産との係わりは、個人的にはこの千葉の土地、仕事上は予想以上に不動産と深い関係に入っていく銀行業務でした。
入行して15年たった頃、静岡県のある都市の支店の副支店長に就いていました。そこは日本でも大変魅力あふれる工業都市で、自然環境も素晴らしく、当時日本で住みやすい都市ベスト5に入っていました。
家族共々移り住んでいましたので、皆快適な地方都市の生活をエンジョイしていました。そんな時、家内から「貴方、将来住んでも良いように、この辺にマンションでも買いましょうよ。」の一言でその市内の高台のあるマンションを買ってしまいました。
新築ではありませんが、つくりのしっかりしたマンションで3DK58_で750万円でした。(ローンは600万円利用しました。)転勤族の宿命で、その後本店に勤務、今は賃貸にしていますが、10%位でまわっています。
そのマンションの選択に当たっては、管理のしっかりしている好立地の資産価値が落ちない物件で賃貸し、マーケットの需要バランスのくずれないような場所をポイントに探しました。我々転勤族の副産物から生まれたようなこのマンションが、私にとっての事業用不動産の第1号となりました。
事業用不動産の鉄則は今も昔も収益還元法
その後、昭和62年の春、神奈川県下のある古都の支店長を拝命、ちょうど私が40才の時でした。時あたかもバブル経済が、入道雲のように盛り上がっていく時期で、不動産も株式も活発を呈し、高騰し続けました。しかし、その高騰振りは異常で、値上がり期待だけにささえられていた首都圏の事業用不動産の利回りは2~3%位で、常識的に見てもお客様には勧められない物件ばかりでした。
私の信念としては、その物件からどの位の収益が期待され、その利回りはどの位にまわり、維持管理費を差し引くとネットでいくらになるのか。又、その地区の将来性、マーケット分析、需給動向、金利動向も考え合わせた上、根幹になるのがこの収益還元法です。バブル時期はこの考えがどうしても軽視されがちでしたが、地方都市にいた私にとっては、魅力ある地方都市への投資は肌で実感していました。
当時、ルートがあった九州の宮崎・南宮崎にお客様をご紹介した記憶があります。自治体を含めたプロジェクトがしっかりしており、大学も2~3誘致されており、マーケットセグメンテーションも良かったので、当時で利回り10%位にまわっていました。その後の税制改革で土地部分の借入金利が経費で落ちなくなりましたが、地方物件は相対的に土地部分の価格が低いので、ほとんど影響無くお客様から随分感謝されました。
その後、私は幅広く多面的に地方都市の分析を個人的にやっていました。実は国内の地方都市を再度研究する背景には、海外物件の投資経験の反省があったのです。私自身いろいろ経験してみたいという気持ちから、よく行っていたハワイの物件に興味を持ち、あるルートを通じて買ってしまいました。しかし、予定していた以上に利回りが上がらず、為替相場も不安定で、円換算後の資産価値も変動しがちで、円高基調を考えていた私は、ついにこの物件を1年でカナダ人に売却してしまいました。売却益は出ず、収支はトントンでした。しかしその後、予想通りの円高になって、持っていたら数百万円の損失になっていたと思います。バブル時期、日本のいろいろな企業が、こぞって海外物件の投資をしましたが、どれも大失敗したのはこ承知のとおりです。やはり海外物件は遠方で、管理も難しく、マーケット動向も掴みにくく、為替相場にふられリスク大です。
話は元に戻りますが、国内地方都市で、将来性があって、若い人にも魅力的な都市の1つに札幌がクローズアップされて来ました。私自身、昭和39年の高校の修学旅行以来、10回位札幌に行っていますが、何度行っても興味つきない町でした。そんな町で不動産業を営む、まだ若いアパマンの山崎社長と知り合ったのがご縁の始まりでした。
不動産事業もリスクヘッジの時代
札幌は、素晴らしい自然環境に恵まれている北海道の中心地で、若い人にとっても、活気あふれる都市で、道内でも一極集中がすすんでいる所でもあります。私は個人的には、札幌から南の千歳あたりも注目しており、新国際空港の整備も整い、21世紀にはもっと発展すると思っております。
札幌の市内のワンルームのマンションは、正直言って予想外に安いと思いました。
手始めに西区のワンルームを購入、現地視察した折、中央区のすすき野近くのワンルームも購入しました。1件当たりの物件の安さは、とにかくもリスクヘッジにもつながります。又、市内物件でも、中央区・西区・そして更なる発展が期待される北区と分散して投資できるのもリスクヘッジにつながります。札幌はこうして小口・分散投資出来る所なのです。現在の事業用不動産はキャピタルゲインからキャピタルインカムの利回り重視の時代に入っていますが、こうしたリスクヘッジも常に頭に入れ、決断する事が重要です。
私は、千歳にも事業用不動産を所有していますが、国内で見ますと、先に述べた静岡県の市内物件、バブル期前に購入した都区内物件、そして、札幌・千歳と4ヶ所に分散して投資した形になっており、リスクヘッジにつながっていると思います。しかし、札幌はまだまだ発展しますし、需要バランスも保たれると思いますので。私としては魅力ある当市市場と思っております。
マンションはその街とその管理状況を買え
マンション購入には、先に述べたように地区の発展性・将来性・需要ニーズ・立地条件等、ポイントを述べて来ましたが、自分がその街に住んでみたい気持ちになれるか、いわば、その街とその環境を買う気持ちが欲しいものです。自分が住んでみたい場所・物件なら、必ずテナントは決まります。そうしたテナント志向の気持ちは、これからマンション経営をやられる方は持った方が良いと思います。
同様に、管理状況・メンテナンスにも気を配って頂きたい点です。
築10年以上たちますと、どうしても修繕費や積立金が不足し、大修復の際は追加金を徴収されるケースが多くありますが、資産価値維持のためにも対応すべきです。一時的に10%あった利回りが7~8%位に落ちてしまうケースもありますが、長期的に見るべきだと思います。
又、築年数が浅い物件では、月額積立金が1000円位の所が多いようですが、これは10年たてば5000円に、15~20年では10000円にすべきで、又、値上げしないと資金繰り上も大修復は出来ないと思います。従ってむしろ管理に熱心な物件を買うべきです。それに室内はこまめにクリーニング・リフォームをしてあげるべきです。つまり、その物件の単純な年利回りでなく、5年間又は、10年間の間の空室期間やリフォーム代・修繕費等の総コストを差し引いたトータル利回りを考えておかねばなりません。10年間で総利回り7~8%維持出来れば、節税効果を考え合わせれば充分と言えるでしょう。このように管理・メンテナンスを含め、長期的に見る事が大切だと思います。
素人でも異常と思う時はやはり異常な状態
マンション投資にしろ、事業用不動産投資にしろ、我国の経済動向、金融金利政策に大きく左右されて来ました。国民全てが信じていた“土地神話”を背景にバブル経済が到来、金融機関にいたからではありませんが、あの高騰振りは真に異常で、今振り返ってみると当たっていました。為替相場は私の専門では無く、むしろ素人ですが、昨年4~5月の1ドル=80円の水準は異常としか思えませんでした。貿易不均衡・日本のファンダメンタル・米国の財政赤字・両国の金利差等から考えても異常の水準と思い、自分の勉強のため、外資預金にもチャレンジしました。
さて、今は何が異常なのでしょうか?そうです、金利です。肯定歩合は0.5%というのは、我が人類史上、経済史上、例の無い水準です。短プラが1.625%、長プラは3.6%になりましたが、(6/5現在の水準)この超低金利時代に調達し、今まで述べて来たようなマンションに投資すれば、5年後には笑顔でいられるかもしれません。
この超低金利は私の推測ですが、年明けには若干水準が上がり、3年から5年後には様変わりしていると思います。
我々、一般国民大衆が誰でも異常と思う状況・水準はやはり異常なのです。このようなケースは、今後もいろいろ起こり得る事かもしれませんが、逆に考えればマンション投資を含め、収益チャンス・ビジネスチャンスにつながるかもしれません。