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第九の鉄人
神奈川県厚木市 S.M.(不動産コンサルタント)
社会が変わる、(ソーシャル)クラスが変わる
皆さん、現在の為替レートで日本人と英国人でどの階層の所得が大きく異なっていると思われますか?
確かに社長クラスでは英国人は日本人の10倍以上の所得があります。しかしこの層は絶対数が少ないので社会に影響がでるほどの総額にはなりません。
実のところ社会全体で5割を超える高卒の所得が日本人の半分以下ということが重要な点なのです。
これは全く信じられないような話です。私も最初何かデーターが間違っているのかと思いました。しかし、そういう視点で英国を見ると、色々つじつまが合ってくるのです。
英国でまず一番目に付くのが、小さい古い車です。
私も最初、俗説を信じ物を大切にする堅実な国民性などと理解しておりました。
しかし、実態は新車にまわすお金などないのです。
確かに世帯主の年収が200万円で生涯ベアアップがほとんどなく不景気になったらレイオフされるとしたら大きな新車など買う気にはならないでしょう。
その次が共稼ぎが多いことです。
住宅街に昼間いるのはお年寄りばかりです。専業主婦がそこそこいる日本と比べると異常です。それも当然です。世帯主の収入では子供でもいれば食べていくのも厳しいのですから。
第三番目が商品です.
日本でいうところのちょうど良い品質と価格の物がないのです。高くて良い物と安くて品質の悪い物しかないのです。商品が所得層に適合しているのです。
テレビで英国のニュースを時々やることがありますが、普通の人の服装を気を付けて見てください。一般に流布している英国紳士が幻想であることに気づかれると思います。
前置きが長くなりましたが、私はなにも英国を馬鹿にしようというわけではありません。
私は、この社会構造こそグローバルスタンダードでありいずれ日本もそうなるのではないかと警告しているのです。
春闘のたびに人件費の削減が経営側から出ておりますが、実際の背景はこういうグローバルでの比較があるのだと思います。誰でも容易に想像できると思いますが、従業員に倍の給料を払って価格競争で勝てるはずがありません。現在はアジアから輸入した部品による原価低減と勤勉な国民性による低い不良率等による高い生産性により国際競争力をかろうじて維持できているのだと思われます。おそらく将来これらが維持できなくなった時、企業は真剣に倒産か賃下げの選択を迫られるのでしょう。もちろん倒産など選べるわけがないので賃金が下げられることになるのでしょう。
社会全体でこういう状況に向かっている中で、これまでのような昇給が得られるのはほんの一部の勝ち組の企業の管理職の方でしょう。いや、勝ち組みだってわかりません。
余談ですが以前トヨタの係長の方と話す機会があったのですが、裁量制度が導入され残業が満額付かなくなったそうなのです。
ここまではよくある話しですが、その理由がなんと日産が裁量制度を採用したからなのだそうです。
私はトヨタの凄さをあらためて感じた次第です。
このようなことから、多くの方は今後所得の減少に悩まされることになると思われます。
グローバルスタンダードでは皆さんのような管理職の賃金は上がり、現場の従業員の賃金が下がるべきなのでしょうが、能力主義が徹底していない日本では管理職といっても本当に能力のある人は少ないので、まず一律に賃金が下がり、その後優秀な人材を獲得するために一部の明確な能力を持つ管理職の所得が上がって行くと考えられます。この恩恵にあずかれるのはおそらく現在の30代でしょう。
40-50代の皆さん、会社から賃金引下げを求められたとき拒否できますか?
ほとんどの人が受け入れざるを得ないでしょう。
では、どうやればこのような変化の中で所得を増やしていけば良いのでしょうか。それは資産からの所得を給与所得に上乗せできる仕組みを構築することです。
このような状況に現在、収益用不動産は非常に適しております。バブルの頃、年50万円の収入を得ようとすれば2000万円のマンションを購入しなければいけませんでした。このような価格では収入を増やすどころか、減してしまいます。
しかし、現在は600万円も出せば、この収入が得られるのです。
皆さんの資産状況からみてこの金額であればターゲットゾーンに入ってくるはずです。この値段だから色々考えられるのです、もしまた値上がってしまえばもう打つ手は狭まるばかりでしょう。
ここでは一つの例で判断の違いでどういう差が生じるか考えて見ましょう。
現在1200万円ローンが15年残っており、月10万円のローンを払っており、かつ1200万円の資金があり低金利で利子もつかないのでローンの繰り上げ返済を考えられているとしましょう。
ローンはもちろん全額繰り上げ返済すれば、That’s it.で終わりです。
ここで1200万円で600万円のマンションを2戸買ったとしましょう。
月10万円の収入があるわけですから、キャッシュフロー上は繰り上げ返済したのと同じです。そして15年の月日が流れ、ローンが終了する日が来たとします。繰り上げ返済した家庭にはもちろんなにも起きません。
しかし、マンションを2戸購入された家庭では収入はそのままにローンが終了するのです。
ここで10万円のキャッシュフローの増加が起きるのです。
資産も1200万円分残っております。
実はこういうやりくりこそ個人の戦略なのです。
今後このような知恵のひとつひとつが個人の生活水準を決めて行くことになると思うのです。
こういうやり方をあらゆる分野に適用することが今後の能力主義なのでしょう。
もう、良い大学を出て会社で良好な人間関係を保ちエスカレーター的に昇進する時代は終わりを迎えようとしているのです。
結局、今後戦略無き集団に繁栄は無くなるのです。競争が激化する中、企業経営者の方は生き残りのために私が言うまでも無く本当に優秀な人材の必要性を既に感じられているのではないかと思います。
おそらく、後20年もすれば日本の社会も英国のようになり、もう現在いうところの中流層というのはほとんど存在していないのではないでしょうか。
そして10-20%の資産家が高級なエリアに住み、高級車が再びお金持ちの代名詞になると思われます。
セルシオの中古に乗るワーキングクラスも昔話になるでしょう。
蛇足ですが、英国ではジャガーの中古にのるワーキングクラスというのはおりません。
皆さん、年金でギリギリの生活をされたいですか。
それとも大衆が見栄で乗れなくなった高級車で別荘に行くような生活をされたいですか。
この答えはひとえに皆さんの戦略にかかっているのです。
これを読まれている皆さんはストラティジックマインドを持たれているはずです。
これからは能力の有る人にとって本当に面白い時代になるでしょう。
全体のパイが拡大している時リターンの差は目立ちません。
しかしパイが縮小している時その差は目立ちます。
企業においても負債に悩むライバルに差をつけるチャンスと言われています。
自分なりの戦略で、勝ち組になろうではありませんか。
ところで、もう一点皆さんの所得動向とは別に多くの皆さんの勤め先である企業にどういうことが起こるか補足しておきたいと思います。
社会の大半を占めるワーキングクラスの賃金低下は実はマクロ的には大変なことです。
現在でさえ個人消費が低迷して景気回復が本格的に始まらないのはご存知のとうりです。
もし構造的にこのような所得構造が形成されたら、個人消費の低迷は現状のような状況ではすまないはずです。
このような需要の低迷に対する企業としての対応は何が有効でしょうか?
おそらくライバルを潰すことによる供給側の調整でしょう。
最近の勝ち組の動きを見ているとそういう覇権主義を感じます。私の思い過ごしであれば良いのですが。
皆さん、家族を守るための資産運用の重要性をわかって頂けたでしょうか。
もしこのような社会変化が日本で将来起きるとしたら、どういう投資先が有望か考えてみてください。
経済というのは色々なファクターが複雑に絡み合っているため、正直私自身まだ完全にシュミレーションできているわけではありません。
現在言えるのは、いま収益用不動産は良さそうだということです。
資産運用というのは運用先を分散してリスクを回避するのが基本です。
しかしこれを守ってみすみす利益を逃すのも馬鹿げた話です。
とはいえ色々経験を積まないと資産運用のバランス感覚や相場感は身に付きません。
自己責任の時代を生き抜くためには自己研鑚するしかないのです。
厳しい時代なのです。