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第十一の鉄人
岡山市在住 広告会社勤務 H.K.(38才)
分譲業者のキラートーク(殺し文句) /1.家賃保証(一括借り上げシステム)で安定収入が得られます
2年ごとの契約単位で空室等にもかかわらず家賃を保証するシステムですが、大体15%ぐらいとられています。わかりやすくいうと、近隣相場が10万円位の物件で空室リスクを考え9万円位で設定して入居者に貸す場合、オーナーには約7.6万円(設定家85%)とします。これは地元の不動産業者で委託すれば、10万円で貸すことができるものを、家賃保証があるからといって7.6万円で貸しているということです。オーナーサイドから見ると、空室リスクが年24%あるのと同じです。年間でいうと2.4万円×12ヶ月=約29万円にもなります。一般的に立地と管理状態が良ければ、築後10年くらいはあまり空室リスクがないと考えれば10年間で290万円にもなります。これでは業者を喜ばせるためのシステムです。
購入前に近隣の不動産に足を運んで賃料等リサーチを行い、比較検討して、一括借上げシステムではないと賃貸がつかない物件購入は控えた方が賢明です。
家賃保証も2年単位ではなく、15年位家賃保証してくれるのなら安定した収入といえますが、業者は家賃の下落リスクを負わないので2年周期の家賃見直しになり、良くて横ばいで、毎回数パーセントの下落は避けられないのが実状です。これでは業者サイドの安定収入といってもいいでしょう。
2.関連会社で賃貸管理/建物管理を一括サポート
「物件の販売から入居者募集や建物の管理業務までお任せ下さい。」というものですが、これはオーナーからすれば面倒な管理はしたくないもので願ったりと思いますが、分譲業者は子会社又は関連会社で、毎月入る建物の管理費・修繕積立金・家賃の代行手数料・入居時の礼金・敷金・更新時における更新料・退去時におけるリフォーム代・募集時における広告費・10年単位に必要になる大規模修繕費等、一物件で何度も「甘い蜜」が吸えるということです。管理会社から年1回送られてくる決算書もオーナーは無関心な状態ですし、管理組合の定期総会も遠方のオーナーが多いせいかほとんど参加するオーナーがいないのが現状です。分譲会社の関連している管理会社主導で管理組合の運営が行われており、使用不明な修繕費の使われ方や管理会社から何の説明もない一方的な管理費の値上げ等がよくあります。管理会社にとっては住んでいる人はテナントで、オーナーは遠方でほとんど管理には無関心、銀行通帳と認印は預かっていて自由に使える状態で、こんなにいい管理物件はないということです。特に財務体質が悪い、評判の悪い分譲会社の管理会社には注意が必要です。
これはオーナーが実際に住んでいないために起こる問題であり、オーナーが常に管理組合の総会に参加し、自分の財産は自分で守るという強い意識が必要でしょう。そういうう意識がないと「資産」が劣化し「死産」になる可能性が大です。
実際、私は全ての管理組合に参加し、管理業務請負業者に値下げの交渉を行っています。今の時代、競争原理を取り入れ、管理業務の料金も固定費ではなく変動費だと考えているからです。ワンルームマンションは築年数が上がるに従ってスラム化している物件も多くあり、購入するときには実需で購入した人や地権者が住んでいる物件を購入した方がリスクは少ないと思います。
3.節税効果があり、ローンが終われば私設年金になる
「月々1万円でマンションが持てて、なおかつ節税できる。」というコピーと年収700万円からのシュミレーションの内容をよく雑誌等で見かけます。これは中間所得購入者(年収600万円~800万円)をターゲットに置き、新たな購入層を広げたい分譲会社の戦略が見えます。
30年もの長い期間を考えれば、現在の家賃が未来永劫続くという保証はありません。近隣物件との競合での家賃下落や、分譲業者の倒産リスク等があり、給与所得だけの中間所得層にはリスクが大きすぎます。私も96年に購入したRライフクリエイト社の新築マンションのローンが1,600万円以上あり、負担になっています。対策として、比較的安価な地方の高利回りマンションを現金購入してリスクヘッジをし、残高の多いローンを繰り上げ返済しています。中間所得層には設事項かも、毎年の固定資産税や修繕積立金の値上げ等での支出があり、年収1,000万円以上ないとさほど効果があるとはいえません。そしてローンが終わったと思ったら大規模修繕費で何百万円必要ということもありえます。中間所得層は中古で利回りが良い、現金で購入できる物件か、もしくは頭金を多く入れて10年以内のローンで購入できる物件を検討したほうが得策といえるでしょう。
4.電話セールス
少し前のことですが、月末の夜の時間に、何年か前に検討したSコート社から物件の案内の電話がありました。話を聞いてみると「購入希望の人のローン審査が通らず、掘り出し物があり、今なら頭金150万円~200万円値引きします。」との内容でした。
現在の土地下落や工事価格の競争によってワンルームの場合、東京都心でも坪200万円がいいところでしょう。6坪(20_)として1,200万円位が原価と考えれば、2,200万円の物件を200万円値引きしても800万円利益が残ります。
このことからしても、広告宣伝費・営業員の人件費等を考慮しても、今の新築分譲会社の20_で2,100万円~2,300万円の価格は分譲業者の利益の取り過ぎだといえます。これは、分譲会社の決算書及び公表数字を見れば利益の高さがおのずと理解できます。サラリーマンの中間所得層が30年間ローンを組んで購入するのは、自分の人生をかけて分譲会社を太らせるようなものです。
5.結論
都心の新築マンションを購入する場合は特に分譲会社のキャッチコピーや家賃が永遠に続くかのようなシュミレーションをうのみにしての購入は避けるべきです。分譲会社の保証は当初の数年だけで、将来のリスクが多すぎます。本来なら不動産を事業で行っているプロの方や実需目的で購入金額の半分以上を自己資金で準備できる資金に余裕がある資産家の方が購入の対象とすべきでしょう。ただ「資産家」が「悲惨家」になる可能性もありますが・・・。
それでは私のようなサラリーマン中間所得層が私設年金目的で長期保有を前提に購入する場合の留意点を挙げるとすれば、
①借入金で購入する場合はローンを短くし、金利に細心の注意を払うこと。
②経年につれ、家賃下落は避けられず、入居率も下がるため、物件の選択は慎重に行うこと。
③たとえ売却する予定がなくても将来売却する場合のことを考えて購入すること。
となります。