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第十四の鉄人
宮城県在住 M.O.
自営業
はじめに
「マンション投資の鉄人」という投稿欄に登場する方達は、ある意味マンション投資の「勝ち組」です。
しかし「勝ち組」があるということは、必ず裏で「負け組」もあるということです。
今回私の投稿は「マンション投資の成功談」ではありません。
ですからこの投稿欄には相応しくないのかもしれませんが「負け組にも最後の解決策はある」というテーマで書いてみたいと思いますので、暫しおつきあいの程お願い致します。
絶体絶命の状況
デフレ不況の現在。不動産市況もその例外ではなく、バブル当時1,500万円もしていた高級ワンルームマンションが、現在400~500万円足らずで買えるという夢のような状況になっています。
しかしその裏で多額のローン返済に窮し、たとえ売却したとしても多額の債務だけが残る、「返済困難・債務超過」という窮地に立たされている方も多いと思います。
というか、私自身がかつてこのような絶体絶命の状況に陥ってしまったのです。そしてこれが今回の投稿のメインテーマなのですが、私自身過去にこのような窮地から脱出する手段として「競売」を選択したということです。
競売にかけられるとは?
「競売にかけられる...。」一般の方はこの言葉を聞いただけで震え上がってしまうのではないでしょうか。
しかしそれは無知からくる単なる怯えに過ぎません。
国家の定めた「競売」というシステムが、債務問題を解決する手段として実は合理的に作られている、という事実を知らないだけです。というか「競売は恐怖のシステムである」と洗脳され、競売にかけられることと、自己破産との明確な違いを認識するだけの知識がないだけの話だと思うのです。
競売後の残債務を死ぬまで払い続けなければならないと怯えきっている方。
逆に競売後の残債務はチャラになると思い込み開き直っている方。
このどちらもが正しいようで間違っています。
競売後の残債務がチャラになる訳ではありません。
「競売にかけられるとは一体どういうことなのか?」
「競売後の残債務を死ぬまで払い続けなければならないのか?」「競売後の残債務が免責にならないのに、なぜ競売にかけられる事が債務問題を解決する最後の手段となり得るのか?」
この問に明確に答えられる方は、たとえ不動産関連の職業に就いている方でも少ないのではないでしょうか。しかし私のつたない表現力でこの答えを書くのには無理があります。
バブル時代都内に1億円でワンルームマンションを購入したある人は、たとえ売却しても1,000万円にしかならず、現在の残債務は9,000万円。仮に売却しても8,000万円の債務が残ることになり、この人はまさに絵に描いたような「負け組」です。
しかしこのような状況になってしまったこの人の人生は終わりなのでしょうか? もうやり直すことなどできないのでしょうか?
できます 解決策はあります
ここに1冊の本を紹介させていただきます。
「住宅ローン破綻 競売があなたを救う 実践者が語る最後の解決策」 早稲田出版発行 (03)3369-5500
瀬谷 潤著 価格1300円
マイホームを競売にかけられた著者が、再びマイホームを購入するまでを実にリアルにしかも分かりやすく描かれています。
「競売は恐怖のシステムではない。競売と破産とを混同するようなネガティブな考え方はやめよう。競売とは実は債務者救済のためのシステムであり、本当の恐怖のシステムとはこういう事である」との著者の主張が具体例を示しながら熱く語られています。
何より法律の裏をかく姑息な手段で解決しようという本ではなく、一般には怖いと思われている競売を解決の手段として、正々堂々と立ち向かおうとする著者の姿勢には好感が持てます。
また競売に伴い発生する様々な問題も豊富な不動産知識と法律知識を駆使して、鮮やかに解決していく様は実に痛快です。
そしてどんな苦境に陥っても決して諦めず、困難に立ち向かっていく著者の姿勢には大変共感しました。
競売という一般にはなかなか分かりにくい世界の本質をついた、そして競売というシステムを通して現在の日本の経済情勢の一部を見事に切取った良書であると思います。
住宅ローンの破綻が、この著者の場合自宅マンションであり、私の場合投資用ワンルームマンションであったという違いはあるにせよ、この本には返済困難・債務超過に陥っている住宅ローン問題を解決するための数多くのヒントが実に明快に分かりやすく書かれています。
1,000万の債務が残っているマンションを400万で売らざるを得ない方は「負け組」であり、そのマンションを400万で買える方は「勝ち組」です。しかし「負け組」にも必ず「勝ち組」になれるチャンスはあるということです。
人生はそのイニングだけで終わるわけではありません。たとえそのイニングでは大量点を取られたとしても、次のイニングからコツコツと点を取り返していけば、いつか逆転もあり得るのです。絶望は愚か者の結論です。人間死ぬ当日まで決して諦めることなどありません。
戦いは出城まで
「戦いは出城まで」ともいわれます。戦は勝ちすぎても、また負けすぎてもいけない。自宅とは本丸であり投資用マンションとは出城です。返済困難・債務超過に陥っている投資用マンションなどすでに火の手が上がった出城であり、この城から撤退しなければ本丸まで危うくなるのです。
負け戦である以上、ここは潔く撤退し本丸を守ることが重要なのではないでしょうか。しかし撤退するにしても、その投資用マンションを安易に任意売却(一般の不動産売買)すれば多額の残債務だけが残る以上、その後どのような恐ろしいことが起こるのかはこの本に詳しく書かれています。
風呂敷は広げるときよりもむしろ、畳むときにその人の裁量が問われると思います。広げすぎて失敗した風呂敷をどう畳めば良いのか。しかし広げることができた以上必ず畳むこともできるはずです。そしてきちんと畳むことができる方ならば、いつかまた広げることもできると私は信じています。
家賃収入だけでは返済できず、毎月多額の持ち出しがあるローンの重圧に苦しみ、たとえ売却したとしても多額の債務だけが残る投資用マンションを抱え途方にくれている方。
あなたは決して「負け組」ではありません。「経験」という貴重な財産を持っているのです。困難な問題に対しては、書を読み専門家に相談し熟考することです。
「天は自ら助ける者を助ける」といいます。自分からこの困難な状況を打開しようと努力しなければ誰も助けてはくれませんし道も開けません。
ローン破綻による投資用マンションの競売という苦渋の選択をせざるを得なかった苦い経験を持つ私ではありますが、このまま「負け組」で終わるつもりはありません。
この貴重な失敗をバネにいつか「勝ち組」になるべく日々努力しています。そして私自身競売にかけられた事を正解だったと確信させたこの本を、今債務超過に陥っている方もそうでない方も、不動産にかかわるすべての人方々に是非とも読んで頂きたいと思います。