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第十六の鉄人
札幌市 不動産業 Y.Y.様
札幌地裁の不動産競売
中の島リバーサイドマンションを落札、売却して気を良くした私は、柳の下のドジョウではありませんが、次の競売マンションを入札するべく調査を始めました。
当時の札幌地裁の競売は1ヶ月に4回程行われて1回の競争入札の物件数は、120~150件ありました。(最近は毎月2回で30~50件)当時は今ほど競売に関する書籍も無くインターネットも無いので手探りで情報収集するような感じで裏社会の出来事の様相でした。
前回も書きましたが競売の札幌地裁閲覧室はいつも混んでいて閲覧ファイルの奪い合いごとく人気物件は、3時間以上待っても見れないこともあり、コピー機の前はいつも5~10人以上並んでいました。
閲覧室の中にはプロの競売業者も多数いてその中でもN商事のN社長、S商事のH社長、そして前回書いたO社等はプロ中のプロでN商事は毎回、10件前後落札して競売の神様と呼ばれていました。(肌の艶、風貌もよく七福神の恵比寿さんのような感じ)N社長に対してS社の社長は石川五右衛門のような風貌で大柄でパンチパーマをかけ怖い存在でまさに競売のプロを地で行ってる感じでした。
私は当時29歳で競売の資金もあまり無く(株式と定期預金を解約した400万円が自己資金) 毎回入札するのは困難で一件落札したら買い手が決まって、また入札する自転車操業の感じでまだまだヒヨッコでした。
不動産競売は、ジャンルも多数あり、土地、一戸建、マンション、アパート、調整区域の土地(住宅を建てれない)、工場、店舗、山林、等それぞれプロの業者は、得意分野があり、中でも一戸建、ファミリーマンション(3DK以上)は、人気の的でいつも入札件数は、10件~20件以上有り競争が激しかった。売却しても需要が高く利幅も結構あったようです。
私の方は花形の一戸建、ファミリーマンションでなく資金の関係でワンルーム~2DKタイプの比較的競争の少ないマンションが中心でした。
競売の開札
話しを戻して2回目の入札は前回の落札が次順位との差が多少あったので少し抑えて入札しました。
翌週の開札日に裁判所へ着いたら開札場は満員で執行官が読み上げる頃には中に入りきれない人がいて廊下の方まで並んでいました。
競売のメイン・フィナーレは開札です。札幌地裁では水曜日の10時から開札が始まり、10時30分過ぎから執行官が読み上げます。前出の競売の神様N社長、H社長は最前列中央がいつも指定席のようでした。
開札場は、獲物を狙う虎やライオン、狼、ハイエナ、から債権者の金融機関、債務者で競売によって自分の財産を失う人等さまざまな思いをめぐらせた人間が集まり、緊迫した重いどんよりとした独特の空気で息苦しく、私は開札の中盤から後半にかけ気分が悪くなり吐き気を催すことがしばしばありました。
執行官がこれより競売の開札結果を・・・・尚、敬称は省略させていただきます・・・事件番号順に多少早口で読み上げ、私は読み上げた事件番号、入札者全部を競売情報に記録するように勤めましたが慣れないせいかうまく聞き取れなかったのを覚えています。
その当時の札幌地裁は入札者全部を読み上げて最後に落札者だけを2回読むシステムでした。
自分の入札した番号が近づいてくると緊張が高まり心臓の鼓動が激しくなり、いても立ってもいられない気分になります。結局2回目の競売は金額を抑えたのが裏目に出て次順位でした。このときの悔しさを今でも覚えています。
次順位は最高価買い受け人の落札者が、何かの事情で物件を流さない限りものに出来ないので次順位も3位以下も同じです。
このような競売を繰り返していくうちに次第に慣れてきて私の競売の落札率は5~6割以上になり自己資金も増え、毎回入札して多い時には1回の開札で3~5件以上落札することも珍しくなく、資金の足りない時は友人や知人、信頼のある顧客の代理入札をしました。
次回は、競売の真髄を・・・・・