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第九の鉄人
神奈川県厚木市在住 S.M.(不動産コンサルタント)
日本は、戦後『和をもって尊しとなす。』という価値観の国でした。日本人のサラリーマンを会社の中だけで巧みに泳げるように進化した魚という言い方をされる人もいました。しかし、過去を懐かしんでも始まりません、現実として私の周辺の世代はこの急激な環境の変化に戸惑っています。会社の水が干上がって泳ぐ場所が無くなって来ているのです。私の知人も大勢が選択定年で辞めました、しかし、新しい環境の圧力により退場した個体に明るい展望がある筈がありません、多くの方が失業保険が切れると共に青ざめているというのが現実です。
私はゴーンさんの講演を聞いた事がありますが、一言で言えば歩く資本主義・合理主義です。その冷静で合理的な判断は投資家として共感を覚えます。色々なセミナーに行っていますが、浪花節的な過去のしがらみをだらだらしゃべる退屈な日本人経営者やエコノミストとは全く異質です。こういうコンペティターが登場した以上、いずれ日本中がこの方向に振れる事は間違いありません。
ミリオネア ネクスト ドア で戦う土俵が一番大事という話がありますが、とにかくこれからの更なる変化を考えると、土俵を誤ると勝機はありません。
私が利益とか投資の話をしていると、人生はお金では無い、不思議なようにいつもこういう人がいます。人生が何であるかは、その人が現在何を欲しているかと言い換えればよくわかります。借金取りに追われている人に人生の哲学を説いても聞く耳を持ちませんし、愛情に飢えている人には逆にお金はあまり意味を成さないのかもしれません。
そう、キヨサキさんのお金が有れば不幸を避ける事ができるかもしれないという言葉、私はこれほどお金という物について適切に表現したものは無いと思います。
そうはいうものの、既に貯蓄率は0%なのですから、おそらく皆さんは将来お金に困られるでしょう。インターネットで千年日記というソフトが3500円くらいで購入できます。これに日々の事実や気持ちを記録されて行かれると良いと思います。人生における自分の決断の何処が正しかったのか、あるいは間違っていたのか20年後か30年後に知る事ができます。
ただ、問題は間違った決断の結果は50歳になってからではもはや取り戻せないという事実です。そして、資本主義社会では負け組は市場から退場して当たり前という冷笑を浴びるのです。何も悪い事はしなかったのにどうしてこんな目に合うのか、嘆いても始まりません。『善人なおもて往生をとぐ、いわんや悪人をや。』何もしない善人は悪人以下だと親鸞上人さえ言われているのです。
皆さんが不動産投資をやろうがやるまいが、私には利害関係はありません。ましてや、数十年後、私が死んだ後、皆さんがホームレスになっていようが、場末のアパートで餓死していようが私にはどうでも良い事です。
しかし、皆さんは当事者です、いま考える事から逃げてはいけません。Now or never.天が皆さんに与えたこの機会を逃せば、おそらく次は無いでしょう。決断は決して先に送ってはいけません。
蘇我氏の野望で存亡の危機に立たされた藤原氏は、鎌足という辺境の分家の神童を一族の後継者とする事で、千年の栄華を築きました。決断はときにはここまで重いのです。
何を信じ、何処で戦うか、くちばしは黄色くてももはや親は餌を運んでくれません。猫やカラスの目を盗んで毎日食べに行かないと生きて行けないのです。ジェリーのようにトムの目を盗む事を楽しめるか、苦痛に思うかで人生は全く違ったものになるでしょう。
私などはストラティジストとしてコンペティターの目を欺いて、事を成し遂げた時の快感に勝るものはありません。人生騙したり騙されたり色々ありますが、生きて無事に煮ても焼いても喰えない大人に成長できたら、結果としてどんな授業料だって安いものになるでしょう。
そして、更に究極の力と言われる『無為自然』に至る事ができれば野に生えた雑木にとっては十分に充実した人生だったと言えるのではないでしょうか。