マンション投資の鉄人

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第九の鉄人

ベビーブーマーのナイトメアー(悪夢)。:四十にして立たねば後は無い。 part1

神奈川県厚木市在住 S.M.(不動産コンサルタント)

ご存知のように、バブル崩壊後日本の経済パーフォーマンスは低下してきております、この凋落の原因の第一幕は主にバブル時の放漫経営をきっかけとした企業の破綻によるものでした。しかし、競売物件をウオッチングしていると良くわかるのですが、企業の破綻が一段落した現在、第二幕は収入が予想を大幅に下回ってしまった個人が中心となってきています。そして、これはこのまま行くとベビーブーマー(団塊の世代)の年金の支給開始年齢の変更時期から急拡大すると私は考えています。

私はいつも将来の予測を行う時、自分が経済活動の中心でなくなった時、政策上相手にされなくなることを考慮するように言ってきました。例えば現在の年金生活者に対する低金利政策の影響です、企業の負債の利払い負担の軽減が優先され年金生活者は無視されています。この政策のせいで多くの年金生活者が貯蓄元本の取り崩しをやむなくされ、経済的な不安にさらされています。企業のバブルの時の経営の失敗のツケを最終的に個人に廻すとは本当にひどい話です、しかしこれが現実です。

今後、インフレが来ても年金の支給額を上げると言った政策は期待できないでしょう。それどころか、年金にはそれ以前に支給開始年齢の変更の問題が待っています。正直な話、いったい政府はどうやって60歳から65歳まで食い繋げと言っているのでしょうか。問題は、65歳まで働けば良いという単純なものではありません。現在でさえスペシャリストを除けば60歳を超えた人の職業は駐車場の交通整理とか警備員とかしかありません。この程度の職業の供給に対しどっと需要が発生した時いったいどうなるのでしょうか。実際に職に付ける可能性は非常に低くなることが容易に予想されます。年金の比例分があるとはいえ、追加で年200万円程度で使ったとしてもなんと5年間で1000万円も必要なのです。資金繰りに行き詰まった企業が本社を売ると言う話はよくありますが、全く同じです、かって中流と呼ばれた何世帯の方々が生活費捻出のために唯一の資産である自宅を売らなければいけなくなるでしょうか、子供に家も残せないなど晩年自分の一生はなんだったのだろうと思わざるを得なくなるでしょう。本当に多くのベビーブーマーの方々において、悠々自適の退職後などまさに夢物語になってしまいました。

本来であれば若年人口の減少などとっくにわかっていた話なので、もっと政策の失敗が責められるはずだったのですが、バブル崩壊の影響がここまで悲惨になると予想されなかったということでうやむやにされた挙句、ちょうど良いタイミングで自己責任という言葉が出てきました。まだ10年有るのだから自己責任でやってくれというのです。確かに私も別の機会にバブル崩壊後の10年の再構築のやり方で企業も個人もその将来は決定されたと言ってきました。しかし、過去の10年は特別でした、本当に残念ながら濡れ手に粟、混水掴魚の時代は終わりました、これからの10年間ローリスクの運用で資産の状況を大きく変えるのは極めて難しいと思われます。おそらく、一般的な人達にとって10年のリードタイムでできる事は消費を絞り、貯蓄を少し増やすのがせいぜい現実的なところでしょう。また、人間は心理的に追いこまれるとリスクテイク側に判断する傾向があります、これは非常に危険な事です、おそらく多くの方々がなけなしの資産の運用に失敗されることも有るでしょう。最終的にこういう事態が複合的に起き、社会不安の拡大に繋がると予想されます。

こういう最悪の事態に輪をかけるもう一つの危険が私が言い続けている輸入インフレです。短期的には円安よりも原油価格高騰による可能性の方が高くなりましたが、この危険は常に潜在的に存在しています。インフレが来てしまうと前述のように5年間1000万円ですむところがそれ以上必要になってしまいます。まさに泣きっ面に蜂です。

次回part2に続く・・・