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第九の鉄人
神奈川県厚木市在住 S.M.(不動産コンサルタント)
オーバーナイトミリオネアのリー君ことリー バニスターの最初の職業は何だと思われますか?シティの為替ディーラー?とんでもないフォードのシート設計エンジニアだったのですよ。それに、フォードが合理化で英国の開発部門をクローズしてドイツの開発センターに統合するというので失業して私の出向先へ転職してきたのです。90年代前半の欧州は、それはそれはひどい不況でした。
まあ、10年以上前の話ですが、フォードはドイツー英国間に従業員専用の飛行機を飛ばしていたそうです。まあ、やる事がでかいというか、こんな事やっているからクローズしなければいけなくなったのでしょう。
ということで、転職して落ち着いたというので、自宅を買ったのが彼にとって最初の不動産との出会いでした。どうですか?異業種だからってためらう理由は全く無いでしょう。それに、何度も言いましたが、オーバーコンフィデンスで大口ばかりたたくので現地MGRには何度もサックだと言われたものです。誰が彼が将来5億万長者になると想像したでしょうか。
そう、そのMGRも北から引っ越す際に優遇融資が有ったそうで、背伸びをして3500万円の家を買ったと言っていました。 最近ネットで調べたら、同じくらいの家は1億円になっていました。本当にバブルの頃の首都圏の家の価格を思い出します。
先日同じく私の部下だったお坊ちゃま君のリチャードと話す機会がありましたが、リーが独立したよと興奮していました。本人はTVRに4.2lのエンジンを載せ換えたとか、7年間ほとんど変わっていないように感じました。7年前はみんな普通の会社員だったのですが、過ぎてみると人生というのは本当に不思議なものです。
リチャードは家にプールが有って、ずっとプライベートの学校だったと当時自慢していましたが、最近英国のプライベートが幼稚園から高校卒業までに授業料が6000万円かかると知っておもわずのけぞりました。確かにバージンのリチャード ブランソンがイートン高でしたか自慢していたはずです。まあ、このくらいかかると逆に見栄を張って行かせる事ができないので良いのかもしれません。
しかし、去年のクリスマスの時、リーがまだ会社のクリスマス パーティに行っていると言っていたのには驚きました。あそこが人生で一番友達ができたから一番楽しいよなんてさらっと言ってのけるところが大物です。どこに辞めて数年たった会社のクリスマス パーティに堂々と行く厚顔な人間がいるでしょうか。
読者の皆さん、若くして不動産投資を始めるのに有利な条件は実は本業の知識ではないのです。実際のところ不動産関連の人間は、良い事はわかっていても急速に立ち上げる資金力も借金力も無いのです。本当に最も有利なのは資金力の有る30代中盤から年収が1000万円あるような優良企業の従業員なのです。
しかし、社会というのは良くできたもので、間違いなくそういう人達は高級車や高額の自宅を買います。自ら富裕層への道を絶ち消費の先食いをしてしまうのです。50代後半の先輩の話を聞けば良いのです。子供の学費と住宅ローンをやっと退職金で清算できた・・・、生涯賃金が中小企業に比べ1億円多いと言われる一流企業の人達が現在そんな状態なのです。
運良く給料の良い優良企業に勤務されている皆さん、あなた達は富裕層に一番近い所にいます。しかし、ポールポジションは優勝を保証している訳ではありません。油断すればすぐに抜かれてしまいます。
『戦略の基本は自分の優位さを最大限に活用する事だ。』10年以上前マッキンゼーのセミナーで聞きました。バターか大砲か、同じ頃ダーウィンで貰った『財を築く。』という本に書いてありました。自宅というバターで財を消費するか、大砲という投資不動産で戦闘力を上げるか。未来はこんな簡単な二者択一でアウトラインが決まってしまうのです。
リチャードが言っていました。本当の金持ちは家だとか車だとか服だとかそんな物には拘らない。おそらくそうなのでしょう。私はまだまだその境地には至れませんが。
さて、皆さんは7年後どうなっているでしょう。