マンション投資の鉄人

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第九の鉄人

期待外れの定年延長。:自分の城は自分で守る。

神奈川県厚木市在住 S.M.(不動産コンサルタント)

卑近な体験で申し訳ないのですが、昨日は勤務先のMGR連絡会で改正高年齢者雇用安定法の展開で大もめでした。出席者の大半が40代というまだ定年にはかなり時間の有る人達でこの有様なのです。正直言ってここまで関心が有るというのはちょっと意外でしたが、これが社会の縮図なのでしょう。



個人の期待からすれば慣れた職場で65歳まで勤める事ができればそれは望むところでしょう。しかし、会社側とすれば将来の経済情勢が読めない以上、能力・体力・本人の希望が揃っても再雇用をリジェクトできるようにしておくのは当然の事です。この部分を譲歩しろと言ってもそれは無理というものです。



そもそも、企業が正社員を減らして派遣社員を増やしているのは賃金を下げる為だけではありません。正社員という固定費を減らし景気が悪くなった時に派遣社員を切って人件費の総額を下げる為です。60歳以上の再雇用の高年齢者も例外ではありません、結局は不況の衝撃を和らげる為のバッファーなのです。ここに政府の思いと企業の都合の間に大きな乖離が有ります。



そもそも自分が収益をコミットした経営者になったつもりで考えればすぐにわかる事です。不況になれば派遣社員の都合なんて聞きはしません、一律何%かで削減するように下に指示を出す、それだけの事です。ここまで競争が熾烈になった現在半分福祉で高齢者をかかえるという事はどんどん厳しくなる事は有っても温くなる事は無いでしょう。



私から見れば定年後の収入にここまで関心が有るのなら自分で手を打てば良いではないかと思うのですが、最近の人はすぐに勤務先や政治に期待するのですね、とても面白い現象です。どこかの記事で読みましたが、それまで各人がやっていた道路の除雪を公的にやりだしたとたんにどこそこが除雪されていないという苦情が多くなったというような話に近いものを感じます。

こういう倒錯した依存症の人は相手の都合で保護を切られたら終りだという事がわからないのでしょうか。よくそんな不安定なものに自分の人生をかける事ができるものです。



今週はトヨタがカムリのエンジンを中国から輸入するという記事にここまで来たかと思いました。もはや労働側はベアアップなんてのん気な話では無いですね。いずれ日本の自動車産業は日本市場向けの完成車の組立てだけになってしまうのでしょうか。原低で他社がどんどん追従したらいったいどれだけの雇用が失われるのでしょう。



このように労働集約的な作業における人件費での中国人との競合、今後5年間で500万世帯の定年、700兆円を超える公的部門の債務、労働人口の減少、米国のバブルの終焉、このような状況で自分の城を自分で守らないで誰が守ってくれるのでしょうか。



皆さん本当に危機感が無く、他人がなんとかしてくれるのではないかと考えているようですが、私が経済の勉強を始めてから30年、日本がこれほど酷い状態に置かれた事は無いのではないでしょうか。

しかし、戦略的にはこうやって真綿で首を締めるようにじわじわやるのは最高の戦略です。反抗の機会を逸し気付いた時には体力が無い、皆これに引っ掛かるのですね。

しかも、今回は外敵というよりも自滅しているというのもまた悲劇です。第二次世界大戦で負けて、経済戦争で勝ったと言われたのはほんのちょっと前の事だったのですが、歴史は皮肉ですね。