マンション投資の鉄人

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第二十五の鉄人

Ⅱ.今後の展開を考える 私のマンション投資の20年(18) 入居審査の実例

鳥取県在住 T.T.

以前、他の管理会社で経験があるのですが、繁忙期に申し込みが入り流れたことがありました。最も賃貸が動いている3月に2週間程度契約を待って流れました。その後案内がすっかりなくなってしまって結局決まったのは8月に入ってからということがありました。

その時は3月~4月に3度流れました。こんなことがあるんだと思いながらも違和感を感じていました。あとで「申込書」を見せてもらったのですが、愕然としました。「申込書」のかなりの部分がほとんど空欄なのです。他にも「申込書」に2種類の筆跡があり、一方は明らかに仲介した不動産会社の営業マンの筆跡です。申し込み者本人ではなく、営業マンが部屋を押さえるために自分で書いたのでしょう。きまりそうな部屋をキープしておくというのでしょうか。こうした実態があります。もちろん名誉のために言っておきますがその不動産会社はアパマンプラザでも、もう一社管理委託しているB社でもありません。

先にもコメントしましたが、申し込みから契約までが長くなる場合は、申し込みが入った段階では募集を止めないように配慮して頂くことも必要です。そのあたりはデリケートな話ですから、やり方は賃貸管理会社と相談しておきます。

先の物件で8月お盆前に待ちに待った申し込みがありました。年収220万の26歳の男性理容師でした。家賃が55,000円でしたから、年間家賃支払い金額を4倍すると年収の220万円をオーバーし、年収がやや足りません。他に収入の道もないようです。明らかに無理していらっしゃいます。か、26歳、金銭感覚がまだ備わっていないのか。連帯保証人のお父さんも借家住まいのようです。家賃が支払えなくなるかもしれません。妥協してOKを出しても早期退去になる可能性がありますし、なによりもご本人にとっても悲しい結果になるのではと思い断りました。

そこから一週間程度でターゲットとしていた35歳、商社勤めのOLの方が決まりました。その時空室期間はやや拡大するかも知れないのですが、長期入居してくださりそうな人に入って頂く。持ち物件の特徴によってはそうしたやり方をとっています。

過去長期入居された方は12年9か月が最長です。私の持ち物件の長期入居者の記録です。その間コストの発生はゼロ。それどころか、その方は入居期間中家賃9,945,000円を支払ってくださいました。投資用中古マンション一戸分買える金額です。その方にその物件のローンを返済して頂いたといっても過言ではありません。その方にマンションを買ってもらったと言えるでしょう。逆を言えば、その方は所有の意思を持っていれば、この物件を自分のものにできていたのです。資産が築けていたのです。20代終わりから30代を過ごされた有名企業のOLさんでした。リーマンショック後、お勤め先の縮小で実家に帰られましたが今お幸せでしょうか。感謝の気持ちしかありません。

所有するマンションで現在10年近く住んで頂けている方が3世帯いらっしゃり、年齢やご職業から推測すると長期入居の記録更新の可能性のあるところが5世帯あります。入居審査の最終判断をするのはオーナーですが、そういう良質な入居者の方と出会わせてくださったのは賃貸管理会社の担当者です。その担当者の方のことは覚えています。担当者と入居審査でやりとりするからです。良質な入居者との縁をとりもってくださるのは何故か同じ担当者の方であることが多いです。申し込み者をしっかり見てくださっているな、と思います。何の縁か分かりませんがやはり感謝しかありません。良縁の仲人さんです。

「運じゃないの? 偶然じゃないの?」と言われそうですが。私はその担当者が紹介してくださったことに対して運であるとか思いません。面談や電話での情報の聴き取りの際に担当者と申し込み者との間では様々なやり取りが行われているはずです。その担当者の人柄があればこそ。必然だと思います。

こうして自分で判断してOKを出した居住者の入居審査時の判断がどれだけ当たっているか、そんなことを後々確かめることができるのも賃貸経営の楽しみの一つです。