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第22の鉄人
東北地方在住 瀬谷潤
世界中のアスリート達や大勢の海外からの観光客を「お・も・て・な・し」の心で迎い入れ開催されるはずだったTOKYO2020。その2020年がまさかこういう年になってしまうとは誰が想像していたことでしょう。ぼくは以前この鉄人欄に「まさかに備える」というテーマで投稿させていただいたことがありますが、今回のまさかをひと言で表すなら「まさかこんな疫病が流行るとは」となるでしょうか。そこで今回はこういう国難の時に、なぜかどこからともなくささやかされ始めてくる「ベーシックインカム」について考えてみたいと思います。
ベーシックインカムという言葉はどなたも聞いたことがあると思います。簡単に言うなら国が全国民に毎月一定の金額を支給するという制度で、全国民に一律10万円を支給した特別定額給付金が毎月行われるとイメージすればわかりやすいでしょうか。これだけ聞くとベーシックインカムとは夢のような制度であるように感じられる方もいるかとは思いますが残念ながら国の財源には限りがあり、仮に生活保護や年金制度等、各種社会保障制度をすべて打ち切ってその財源に充てたとしても、憲法が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」を維持できるだけの金額が全国民に毎月一律に支給されるものなのかどうか疑問が残ります。
ぼくは以前、資本主義社会において資産と呼べる物は「通貨」と「株」と「不動産」の三つしかなく、投資というのはこの三つの資産の所有形態を変えているに過ぎない、という話をこの投稿欄でしたことがあります。そこでこの三つの資産それぞれについて本当にざっくりとではありますが今一度考えてみたいと思います。
まず「通貨」はどうでしょうか。通貨とはもちろん預貯金も含みますし広い意味では「金」(きん)も含みます。ひと頃「二千万問題」という話が話題になりましたが、ぼく自身二千万問題に対しては否定派で、別に二千万なくても嘆くことはありませんし、仮に二千万あったとしても安心はできないという考えです。理由として通貨は常にインフレというリスクにさらされているからです。もうひとつ、今後上がるかどうかはわかりませんが「消費税率の引き上げ」というリスクにもさらされています。通貨には物価上昇や消費税増税等でその価値は常に下がり続けるというリスクを背負わされています。ついでに言うと盗難や金融機関の破綻というリスクもあります。戦後どの10年間を切り取っても物価が上がらなかった、つまり貨幣価値が下がらなかった10年間はありません。なぜ通貨の価値、つまり貨幣価値は下がり続けるのかと問われれば答えは簡単で「紙幣は刷れるから」です。山の手線の内側の土地の広さを増やすことは神様にもできませんが通貨の流通量を増やすことはいくらでもできるからです。江戸時代の初期の小判は金の含有率が高く、江戸後期にはその率が下がっていたそうです。幕府も金策には苦労していたのでしょう。時代劇に小判を噛むシーンがよく出てきますが、これは金の含有率を確認するためだと聞いたことがあります。オリンピックで金メダルを獲得した日本人選手がメダルを噛むシーンを思い出す方も多いと思いますが、これは現代人にも江戸時代の金の含有率を確認する日本人のDNAが残っているからなのでしょう。ってこれはぼくの私見です。真に受けないでくださ
い。
仮に今50歳くらいの人が70歳頃までに二千万円を貯めることができたとしてもその間の物価上昇や消費税増税等があった場合、その時代の二千万の価値が果たして死ぬまで安心できる蓄え額になっているかどうか疑問が残ります。貯蓄の目的のひとつに「もしもに備えて」という理由があると思いますが、もしもに備える貯蓄額は「一年間の総支出額」相当の蓄えがあれば十分だと思っています。「総収入額」ではなく「総支出額」です。何の収入がなくてもとりあえず貯蓄を切り崩しながら一年間は家族全員の命を繋いでいける金額。それ以上の貯蓄はインフレという嵐に自分の資産をさらしているだけ、くらいに感じています。その根拠としてぼくは貯蓄だけでお金持ちになった人に未だにお目にかかったことがないからです。
もうひとつの資産「株」はどうでしょうか。以前、この投稿欄に株のことを少しだけ書いたことがありますが、株は「安い時に買い、高い時に売る」を実践すれば簡単に儲けられるような気もしてきます。でも実際に株式投資をしてみると「値上がりし続ける衝動心にかられ買ってしまい、値下がりし続ける恐怖心に負けて売ってしまう」という「衝動買い、狼狽売り」のパターンに多くの人が陥ってしまいそう簡単に儲けられる世界ではありません。株の格言に「人の往く、裏に路あり花の山」という句があります。要するに人と同じ行動はするなという教えです。しかしこの句にはさらに続く下の句がありこれが実に思慮深い。興味がある方は調べてみてください。
では三つ目の資産「不動産」はどうでしょうか。不動産にも色々ありますが、ここではあくまでも毎月手元に現金が残る、つまり毎月のキャッシュフローがプラスになる「中古の区分所有物件」に限定してお話いたします。というか毎月のキャッシュフローが赤字になる不動産投資など経営という側面から考えてみてもやってはいけない投資だとぼくは思います。
不動産投資のメリットとは?と問われれば、それは「毎月の家賃が得られる」ということに尽き、それ以上も以下もありません。今は昭和の終わりから平成初期のいわゆるバブル期に言われたキャピタルゲイン(売却益)を狙う時代ではありません。キャピタルゲインを狙わない不動産投資とは何なのか?それはインカムゲインを目的にする。つまり「毎月の家賃を頂き続ける」という極めて単純で地道な投資に尽きます。
ここで不動産投資という観点からベーシックインカムを考えてみましょう。
「毎月。すべての国民に。一律。一定額。支給」というベーシックインカムの中のワードと、インカムゲインを狙う不動産投資に「毎月。所有者に。一定額の家賃収入」というワードが被っていることに気が付きませんか?そうです。家賃収入こそ「毎月一定額の現金を受け取れる」という、広い意味でのベーシックインカムなんです。この鉄人欄という場でベーシックインカムという制度についてぼく自身の意見を述べる事は差し控えさせていただきます。でも何もしなくても毎月一定額の現金収入があればいいな、と誰もが思っていることも又事実でしょう。確実なインカムゲインを確保できる不動産投資を実践することで、たとえその家賃収入がどれほど少額ではあったとしても、毎月の確実な収入を確保していく。つまり「私的ベーシックインカム」を自らの努力で構築していくということは、今回のコロナ禍に限らず様々な困難を乗り越えて行く上で、必ず貴重な力になってくれることと信じています。
【Youtubeによるセミナービデオのご案内】
Youtubeにてぼくのセミナービデオを公開しています。テーマは返済困難・債務超過に陥ってしまった4件の区分所有物件を任意売却ではなくあえて競売にかけられて、というかあえて競売にかけていただいて処分し、残った債務に関しては然るべき手続によって処理した、というぼくの実体験から経験した事を中心に二部構成でお話させていただいております。
あくまでも失敗した体験談ですから明るい内容のセミナーではありませんし話の性質上どうしても法律用語が多く登場しますがそこの処はできるだけ分かりやすく又余り深刻にならないようにお話することを心掛けました。肩肘張らず、気軽な気持ちでご覧になっていただければ嬉しいです。是非ご覧になってください。
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